2024年12月5日公開
最終更新日:2024年12月6日
キャリアアドバイザーになるには資格が必要? キャリアコンサルタント試験についても解説
キャリアアドバイザーは、就職・転職希望者が増加している人気の職種です。キャリアアドバイザーになるには資格や経験が必要なのでしょうか。キャリア系の国家資格としてはキャリアコンサルタント試験があり、取得しておくとキャリアアドバイザーとして活躍するうえで有利でありキャリアアップにつながります。
この記事ではキャリアコンサルタント試験の仕組みや受験の要件、難易度などについて詳しく解説します。
▼キャリアアドバイザーの基本知識や具体的な仕事内容についてはこちらの記事でも総合的に解説しています。
キャリアアドバイザーには国家資格が必要?
人材紹介会社や転職エージェントなどに在籍し、就職・転職を希望する求職者に対して、面談や面接の練習、マッチングする企業への紹介などのサポートを行うキャリアアドバイザーは現在人気の職種です。就職・転職するときに気になるのが資格の有無でしょう。キャリアアドバイザーには資格が必要なのでしょうか?
結論からいうとキャリアアドバイザーとして働くためには国家資格、民間資格どちらも不要です。未経験でも始められ、新卒でキャリアアドバイザーの職につけます。しかし求職者の就職・転職をきめ細やかにサポートするという仕事柄、さまざまなスキルや経験があるのが望ましいです。キャリアアドバイザーに不可欠なスキルについて解説します。
キャリアアドバイザー経験者
キャリアアドバイザーとして働いていた経験のある人は、転職の際に有利です。企業によって業務内容に多少の差がありますが、「求職者のサポート」という共通の業務があるため経験者は優遇されるでしょう。他には人事部門や営業部門で働いていたキャリアがあると、キャリアアドバイザーの業務に役立ちます。
人材関連会社は求職者を企業に紹介することで企業から報酬をもらうため、キャリアアドバイザーの仕事には営業職としての一面があります。売上の他、紹介人数や紹介率、面談数などのノルマが課される場合があり、そのような企業では営業職としての経験が役立つでしょう。
コミュニケーション能力
キャリアアドバイザーの仕事は求職者個人と紹介する企業の担当者、双方との円滑なコミュニケーションが成果につながるといっても過言ではありません。いろいろな人と話すことが好きな人はキャリアアドバイザーに向いています。求職者の希望を的確に聞けるヒアリング力、質問に正確に答えられるトーク力も大切です。
職種でいえば、営業職や販売職などお客様と頻繁に接する仕事をしていた経験があると、大きな強みになります。異業種からの転職でもこれらの経験をアピールするとよいでしょう。
問題解決能力
求職者の集客から企業に人材を紹介するまで、何事もなくスムーズに進めばよいのですが、重要な局面でトラブルが発生することもあるでしょう。例えば求職者の希望と紹介する企業がマッチングしなかったり、入社条件で折り合いがつかなかったりといったトラブルが考えられます。トラブルが起こったときに冷静に問題を分析して、臨機応変に解決に向けた提案をする能力は非常に重要です。
例え失敗しても何がよくなかったかを振り返り、次につなげるスキルも習得しておきたいものです。しかし何事も経験が大切です。キャリアアドバイザーとして活躍していくうちに、自然とさまざまなスキルが身についていくでしょう。
国家資格が必要な「キャリアコンサルタント」とはどんな職業?
キャリアアドバイザーは資格がなくても働けますが、同じキャリア系の職種の中に国家資格が必要な「キャリアコンサルタント」があります。2016年4月に施行された「職業能力開発促進法」で国家資格になったまだ歴史の浅い資格です。
キャリアコンサルタントとは、求職者や従業員のサポートを行う職業です。おもにキャリアコンサルティングを専門にしています。キャリアコンサルティングとは厚生労働省で次のように定義されています。
「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」(※1)
国家試験に合格して指定機関に登録した人だけが「キャリアコンサルタント」を名乗れる制度です。
働き方に対する考えの変化や企業が抱える人材不足の問題、社会全体のDX化などさまざまな要因があり、転職市場は年々拡大しています。さらに2022年の「職業能力開発促進法」の改正では事業主が従業員の安定した雇用を維持していくために「職業能⼒の開発及び向上に関する措置を⾏う」(※2)ことが明文化されました。それにともない、キャリア形成の専門家であるキャリアコンサルタントのニーズも高まってきています。
キャリアコンサルタント登録センターの発表によると、2024年10月末時点で全国のキャリアコンサルタント登録者数は77,174人(※3)、2023年の同時期では70,725人(※4)と年々増加傾向にあることが分かります。
国家資格であるキャリアコンサルタントの資格を取得しておくと、就職・転職に有利です。企業の中にはキャリアコンサルタントの資格保有者を条件にしているところもあり、転職時の選択肢が広がります。キャリアアドバイザーとして働くうえでも求職者やクライアント企業からの信頼感が増し、業務が円滑に進むでしょう。
※1 出典:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
※2 出典:厚生労働省「雇用の質のための事業主の責務の明確化」
※3 出典:キャリアコンサルタント登録センター「2024年10月末都道府県別登録者数」
※4 出典:キャリアコンサルタント登録センター「2023年10月末都道府県別登録者数」
キャリアコンサルタントとキャリアアドバイザーの違い
求職者に対してあらゆる面での支援を行い、希望する企業を紹介する点では、キャリアアドバイザーとキャリアコンサルタントにそれほど大きな違いはありません。しかし国家資格を持つキャリアコンサルタントは活躍の場が多い傾向にあります。
企業の人事部門や教育機関、需給調整機関、地域の就職支援センターなど幅広い分野での活躍が期待できます。同じような職種としてキャリアカウンセラーがあります。カウンセリングを通して求職者の適性やスキルを分析してキャリア形成のサポートをする仕事です。
▼キャリアコンサルタントとキャリアアドバイザーの違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
キャリアアドバイザーとキャリアコンサルタントの違いとは? 業務内容や働く場所、資格の有無を徹底解説
国家資格・キャリアコンサルタント試験の概要や内容、難易度
国家資格として社会的信用もあり、今後もさらに需要が見込まれるキャリアコンサルタントの資格は、人材業界で長く働くならぜひ取得しておきたいものです。資格試験は「職業能力開発促進法」に基づき、厚生労働大臣が認めた「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」と「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会」の2つ機関が実施しています。
試験は年に3回、4ヶ月に1度の頻度で実施されています。日程については厚生労働省や認定機関の公式サイトで確認ができます。2025年に実施される第28回試験のスケジュールは次の一覧の通りです。
(※5)
学科試験はどちらの機関も同一問題・同一日程で行われますが、実技試験は問題、日程ともに機関によって異なります。受験申請受付期間は日程がやや異なり、2ヶ月以上前に申請しなくてはならない点に注意が必要です。受験会場は東京・大阪・名古屋・札幌などの都市部に用意されています。
続いてキャリアコンサルタントの試験の概要や内容、難易度などについて解説します。
※5 出典:厚生労働省「令和6年度・令和7年度 キャリアコンサルタント試験 試験日程」
キャリアコンサルタント試験の内容
キャリアコンサルタント試験にはマークシート方式の学科試験と実技試験があり、それぞれ日程が異なります。実技試験は論述の記述試験と面接に分かれています。受験料は学科が8,900円、実技が29,900円です。
過去にキャリアコンサルタント試験の学科試験または実技試験に合格した場合、合格した試験は免除されます。例えばすでに学科試験に合格している場合、学科試験の受験が免除され実技試験だけの受験だけで済みます。また、同じく国家資格であるキャリアコンサルティング技能検定の1級、または2級の学科、実技試験のどちらかに合格している場合も該当の試験が免除される仕組みです。
難易度
キャリアコンサルタント試験の合格率は、実施回や試験の種類によって異なりますが、平均して50〜60%です。2024年に実施された第25回・第26回試験の合格率は次の通りです。
試験の実施回によって多少のばらつきはあるものの、行政書士や社労士などの士業の国家試験と比べて難易度は低い傾向にあります。
キャリアコンサルタントになるまでの流れと試験の詳細
キャリアコンサルタントの国家資格を取得するまでの流れは次の通りです。
・受験要件を満たしている
・受験申請
・試験
・名簿への登録
それぞれのステップを解説します。
キャリアコンサルタント試験の受験要件
厚生労働省では受験の要件を次のように定めています。いずれかに該当していれば受験資格が得られます。
1.厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了している
2.「労働者の職業の選択」「職業生活設計」「職業能力開発・向上」のいずれかに関する相談について3年以上の経験を有する
3.技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格している
4.上記の項目と同等以上の能力を有する
(※6)
試験を受験した人の多くは厚生労働省が認定する養成講座を受講しています。実務経験については自己申告で、受験申請の際に機関側から個別に審査があります。キャリアアドバイザーとしてキャリアを積んでいる人は申請しておくとよいでしょう。
※6 出典:厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ」
キャリアコンサルタント試験の受験申請
受験の申請は、期間内に「キャリアコンサルティング協議会」または「日本キャリア開発協会」でWebまたは郵送にて行います。申請期間は機関によって異なるため注意が必要です。申請後、受験料を期日内に支払います。
キャリアコンサルタント試験の詳細
試験は職業能力開発促進法などの法令関連やキャリアコンサルティングに関する理論、実務、倫理などの科目から出題されます。マークシート方式の学科試験と論述・面接(ロールプレイ・口頭試問)で構成される実技試験があります。学科は100点のうち70点以上、実技は150点のうち90点以上得点すれば合格です。受験日の翌月には合格発表が行われます。
キャリアコンサルタント名簿への登録
学科・実技試験どちらにも合格すれば、キャリアコンサルティング協議会内の「キャリアコンサルタント登録センター」の名簿に登録します。登録して初めてキャリアコンサルタントが名乗れます。登録センターのWebサイトで登録申請を行ったあと、申請書を郵送します。登録には登録免許税と登録手数料が必要です。
キャリアコンサルタント資格を取得したあとには5年ごとに更新が必要
キャリアコンサルタントの資格を取得・登録後は「キャリアコンサルタント」を名乗って活動していきます。しかし、それで終わりではありません。キャリアコンサルタントにふさわしい能力を維持していくため、5年ごとの資格の更新が定められています。具体的には合格後の5年間に一定時間以上の知識講習と技能講習を受講しなくてはなりません。
知識講習では法律の改正や業界の変化などの最新の動向を把握することを目的に、キャリア形成やキャリア教育、メンタルヘルス、労働政策及び労働関係法令などさまざまな科目を受講します。技能講習ではキャリアコンサルタントとしての実績や活動の場など、個々の働き方のスタイルやレベルに応じて科目を選択できます。
どちらの講習も指定機関が多数あるので自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。講習の内容や実施機関は厚生労働省のサイトや「キャリアコンサルタント講習検索サイト」で探せます。更新時以外にも常に最新の情報や法令などに着目し、継続的に学習していくのが理想的です。
キャリアコンサルタント資格取得後のキャリアプラン
キャリアコンサルタントの資格取得後はさまざまな分野で働けます。企業内での従業員のキャリア支援の推進、転職希望者の増加、など社会の雇用に関する考え方が変化してきている現在、キャリアコンサルタントのニーズは急激に高まっています。活躍の場も一層増えていくでしょう。
キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントとして企業内でキャリアを積む場合は、医療や福祉、ITなど専門職に特化したキャリア支援のエキスパートとして活躍したり、マネージャーなどの上級職についたりといったキャリアが考えられます。
キャリアを積んでいけば、将来的にはキャリアコンサルタントとして独立・開業することも可能です。経験を活かして企業のキャリア支援を行う、キャリアコンサルタント試験の対策講座の講師になる、セカンドキャリア支援を行うなどさまざまな働き方があります。
より知識レベルを上げたい場合は、キャリアコンサルタントの上位資格であるキャリアコンサルティング技能士2級、1級に挑戦してみるのもよいでしょう。
キャリアアドバイザーとして活躍するためにキャリアコンサルトの資格を取得しよう!
転職希望者の増加や企業の深刻な人手不足が問題となっている現在、キャリアアドバイザーは非常に将来性のある仕事のひとつです。未経験で資格なしでも始められる点も魅力といえます。
将来的にもキャリアアドバイザーとして働くなら、自身のキャリアアップのためにもキャリアコンサルタントの資格取得を目指したいものです。キャリアアドバイザーとしての実績も活かせ、資格取得までの学習もスキルのブラッシュアップにつながるでしょう。
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