2025年4月17日公開
最終更新日:2025年4月17日
キャリアアドバイザーが作成する推薦文の役割とは? 内容や効果的な書き方、例文も紹介

キャリアアドバイザーの業務の一つに「推薦文の作成」があります。推薦文は、求人企業の意思決定に影響を与える重要な書類です。推薦文を通して、求職者の強みやポテンシャルをアピールすることで、書類選考や面接の通過率を高められる可能性があります。
この記事では、キャリアアドバイザーが求人企業に向けて作成する推薦文について解説します。推薦文の役割から、内容や書き方、例文、作成時のポイントまで詳しくお伝えします。
推薦文の作成はキャリアアドバイザーの大切な仕事
転職エージェントや人材紹介会社に属するキャリアアドバイザーには、推薦文の作成という大切な業務があります。推薦文とは、求人企業に求職者を推薦するための文書のことで、推薦状という形式で履歴書や職務経歴書と一緒に提出します。
求人企業は、「履歴書」「職務経歴書」「推薦状(推薦文)」の3点の書類をもとに求職者の審査を行い、採用面接に進むかどうかの判断を下します。
推薦文の役割
推薦文には、2つの大きな役割があります。1つ目は、応募先の企業に求職者がいかに優秀な人材であるかをアピールすること、そして2つ目は、書類選考や面接の通過率を高めることです。
推薦文は、履歴書や職務経歴書の情報を補足するためのものでもあります。履歴書や職務経歴書だけでは伝わらない求職者の人柄や強み、実績などを具体的にアピールして、企業の関心や採用意欲を高めることが狙いです。
特に、選考の第一段階である書類選考では、実際に対面するわけではないため、書面の情報が大きな判断材料となります。求職者の特徴や魅力を伝える推薦文の役割は、極めて重要といえるでしょう。
推薦文は選考に影響する?
推薦文が選考にどの程度影響するかは、エージェントの信頼性や求人企業の考え方によって変化します。推薦文の内容を重視する企業もあれば、あまり参考にしないという企業も存在します。
信頼できるエージェントからの推薦は重視される
求人企業がエージェントや担当キャリアアドバイザーに信頼感を持っている場合は、推薦文が重視される傾向にあります。「過去に良い人材を紹介してもらった」「何度も取引の実績があり、安心感がある」など、これまでの人材紹介が成功しているケースです。
履歴書や職務経歴書の内容が今一つであったとしても、信頼できるエージェントからの強い推薦があれば、面接につながる可能性があります。信頼が厚いほど、推薦文の効果は大きくなるでしょう。
推薦文に嘘は書けない
推薦文は、事実をもとに作成するのがルールです。選考を有利に進めたいからといって、求職者のスキルを偽ったり、実績を誇張したりするのは絶対にやってはいけないことです。
キャリアアドバイザーは、求人企業との信頼関係を大切にしなければなりません。もし噓がばれれば個人としてだけでなく、所属するエージェントの信頼も失墜させてしまいます。また、求職者も実力が不足する状態で入社すれば、実際の業務で苦労することになります。
キャリアアドバイザーには、より多くの求職者を入社に導くことが求められますが、嘘や誇張は良い結果を生みません。推薦文を作成する際は、事実に基づいて正確な情報を伝えることを意識しましょう。
キャリアアドバイザーの推薦文を通して伝わること
推薦文は、求職者の魅力や適性をアピールするために欠かせないものです。具体的には、以下のような内容を記載します。
・求職者の強みや実績
・求職者の人物像
・求職者の転職理由
・求職者の希望年収や待遇
・必要な伝達事項
それぞれ詳しく見ていきましょう。
求職者の強みや実績
求職者のスキルや実績を具体的に記載します。履歴書や職務経歴書からは伝わりにくい、詳細な業務経験や成果に焦点を当てて強みをアピールします。
例えば、「営業職として5年間勤務し、年間契約数トップを3回獲得した」「環境プロジェクトのリーダーを務め、目標値を上回る25%のコスト削減を達成した」など、具体的なエピソードを交えることで説得力が高まります。
求職者の人物像
キャリアアドバイザーから見た求職者の人柄や価値観、仕事への取り組み方などを客観的な視点で伝えます。「明朗で人当たりがよく、行動力がある」「柔和なコミュニケーションを得意とし、適応力が高い」など、応募職種や企業が求める人物像に合わせてアピールするのがポイントです。
求職者がどのような人物であるかは、履歴書や職務経歴書からはほとんど読み取ることができません。企業側が特に知りたい部分でもあるため、ポジティブな要素を丁寧に伝えることが大切です。
求職者の転職理由
推薦文に転職理由を示すことで、求職者の仕事への価値観やキャリア志向を応募先企業に伝えられます。「キャリアアップを実現したい」「これまでに習得したスキルをより活かせる環境で挑戦したい」などの転職理由であれば、向上心のある人材として評価されるでしょう。
一方で、人間関係の拗れや待遇面の不満といったネガティブな転職理由は、ストレートな記載を避けます。敢えて記載する必要はありませんが、転職理由が懸念点になりそうな場合は、ポジティブな表現に変換することでマイナスイメージを回避できます。
求職者の希望年収や待遇
希望年収や待遇は、企業と求職者のマッチング成立に不可欠な要素です。事前に推薦文の中で伝達することで、選考通過後の条件面の不一致を防ぐことができます。
具体的な記載内容としては、希望年収や勤務地、勤務形態、残業の有無などが挙げられます。求職者から要望があれば、リモートワークの希望や転勤の可否についても記載します。
必要な伝達事項
求職者の希望や個人的な事情があれば、その旨も推薦文に記載します。例えば、「マーケティング部門への配属希望」「家庭の事情で19時以降の残業不可」といった事柄です。譲れない内容を事前に伝達しておくことで、企業側は求職者のニーズや制約を踏まえて採用を検討できます。
推薦文の書き方と具体例
ここでは、推薦文の書き方と具体例を紹介します。推薦文の基本的な構成は以下の通りです。
・初めの挨拶
・求職者の基本情報
・人物像
・転職理由
・結びの挨拶
各項目ごとに解説していきます。
初めの挨拶
推薦文は、採用担当者への挨拶から始まります。形式的な文章になりがちですが、前回の取引への感謝や打ち合わせのお礼などを組み入れると、誠実な印象を与えられます。オリジナリティを加えることで、信頼構築や関係性の強化につながります。
<例文>
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。先日の打ち合わせでは、お忙しい中貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。〇〇様から伺った要望をもとに速やかに手配を進めております。
さて、早速ではございますが、ご依頼のありました〇〇部門の求人につきまして、ご推薦申し上げたい人物がおります。
求職者の基本情報
求職者の核となる経歴や実績などの情報を記載します。履歴書や職務経歴書に書かれている情報を補足するようなイメージです。求職者のスキルや得意分野について、具体的なエピソードを交えてアピールします。
<例文1>
〇〇様は、〇〇大学を卒業後、現職の株式会社〇〇へ入社。〇〇部へ配属され、〇〇として7年のキャリアを積みました。2年前から〇〇の責任者に指名され、現在では〇〇の業務のほか、後進の育成も任されている立場にあります。自主的に人材育成セミナーへ参加したり、コーチング資格を取得したりするなど、与えられた業務に対して責任感や向上心を持って取り組めるお方です。
<例文2>
〇〇様は、〇〇大学〇〇学部卒。大学在学中に、2年間の海外留学を経験されています。卒業後は、株式会社〇〇へ入社し、〇〇の業務に従事。堪能な英語と優れたコミュニケーション能力が評価され、重要な海外出張や商談を任されるなど、グローバルな環境でも活躍できる実力の持ち主です。
人物像
求職者との対話を通じて感じ取った人柄や価値観、実際のエピソードなどを記載します。求職者の人物像は、企業側の関心が高いポイントでもあります。
<例文1>
〇〇様は笑顔の多い方で、とても親しみやすい印象です。こちらからの質問に対して明るくハキハキと答える姿が印象的で、気持ちの良いコミュニケーションが取れる方だと感じました。仕事でもプライベートでも日頃から人とのつながりを大切にしているとのことで、人間関係の構築に長けている様子が伺えました。
実際に〇〇様と接してみて、チームワークや協調性を重んじる貴社求人と相性の良い人材であるように思えます。面談の機会を前向きにご検討いただけますと幸いです。
<例文2>
〇〇様のお人柄については、お電話での印象となりますが、礼儀正しく、穏やかで落ち着きのある方のように見受けられます。言葉遣いや話し方がとても丁寧で、話していて安心感がありました。以前、インサイドセールスに従事した経験をお持ちで電話対応にも慣れており、顧客対応が多く発生する貴社の業務にフィットする人物に感じました。
また、今回の応募にあたっての準備や確認作業も徹底しており、業務に対しても能動的かつ計画的に取り組める方であると推測されます。ぜひ一度ご面談いただきたく、お願い申し上げます。
転職理由
転職理由は、推薦文の必須項目ではありません。ネガティブな転職理由は、事実のままに伝えるとマイナスイメージを与えかねないため、記載を避けた方が無難です。もし記載するのであれば、ポジティブな表現に言い換えましょう。
一方、転職理由がキャリアアップや専門性の向上といった前向きなものであれば、一つのアピールポイントになります。「キャリア形成に積極的な向上心のある人物」「意欲的に業務に取り組む姿が想像できる」といった良い印象を与えられるでしょう。
<例文1>
〇〇様が転職を希望される理由は、専門分野である〇〇のスキルアップです。現在の会社で〇〇として5年間の経験を積む中で、その技術をさらに高めて活躍したいと考えるようになり、今回の応募に至った次第です。
〇〇様は、技術向上のために昨年から〇〇の学習もされています。〇〇業界をリードする貴社で成長し続け、貢献していくことを心待ちにしておられます。ぜひ一度、ご面談の機会をいただけますと幸いです。
<例文2>
〇〇様は現職において、年間営業成績トップを9回獲得するなど、高い能力の持ち主です。しかしながら、社内の評価制度が整っていないために、実績が昇進や給与に反映されにくい状況にあります。そのような経緯から転職を考えるようになり、貴社の実力がきちんと評価される制度や、年齢・勤続年数を問わず昇進を目指せる環境に大きな魅力を感じておられます。
〇〇様と話をしていると、営業という仕事に対する熱意やモチベーションの高さが伝わってきます。会話の中に時折ユーモアを交えるなど、コミュニケーション上手である点も非常に魅力です。貴社の大きな戦力となる人材として、自信を持ってご推薦させていただきます。
結びの挨拶
推薦文の最後は、面接を前向きに検討して欲しいという旨の文言で締めます。前の文脈に合わせて適切な挨拶で締めましょう。
<例文1>
面談の機会を前向きにご検討いただけますと幸いです。
<例文2>
ぜひ一度ご面談いただきたく、お願い申し上げます。
<例文3>
ぜひ一度、直接ご面談をお願いしたいと考えております。
<例文4>
ご面談の機会をいただけますと幸いです。
キャリアアドバイザーが推薦文を作成する際のポイント
効果的な推薦文を書くためには、どのような点に配慮すればいいのでしょうか。推薦文を作成する際のポイントを以下に挙げます。
・求人企業が求める人材を理解する
・スキルや実績は具体的にアピールする
・貢献できる人材であることをイメージさせる
・誇張表現や嘘は避ける
・事前にテンプレートを作成する
それぞれ詳しく解説していきます。
求人企業が求める人材を理解する
推薦文の作成に入る前に、まずは求人企業が求める人物像を正しく理解することが重要です。一般的に人材紹介を行う際は、事前の打ち合わせで採用ターゲットや採用ペルソナの確認をします。例えば、採用ペルソナにおいては、以下のような項目が設定されます。
・年齢
・性別
・学歴
・経歴
・スキル
・性格、価値観
・ライフスタイル
推薦文で求人企業の関心を引くためには、企業が求める人物像に求職者が当てはまることを示唆することが有効です。合致している点を明確にアピールすることで採用意欲が高まり、選考を通過しやすくなります。
企業が求める人物像は、事前の打ち合わせで得た情報のほかに、社風や職場環境からも読み取ることができます。企業のホームページやSNSの内容をチェックして、社内の雰囲気や活躍している社員の特徴などを参考にするのも良い方法です。
スキルや実績は具体的にアピールする
推薦文で求職者のスキルや実績を伝える際は、具体的な数字で示すことが大切です。数字を用いることで説得力が増し、求職者の能力をより明確に伝えられます。
以下にいくつかの具体例を紹介します。
・担当製品の売上アップに貢献した
→担当製品の売上を20%増加させ、年間の売上高を3,000万円に導いた
・プロジェクトリーダーを努め、目標数字を達成した
→プロジェクトリーダー1年目で、目標数字を115%達成した
・優秀な営業成績を収め、社内表彰を受けた
→昨年度は営業部門の成績優秀者として社内表彰を受けた(営業〇〇名中〇位)
実績を具体的な数字で示したり、客観的な評価を取り入れたりすることで、企業の採用担当者は求職者の能力をより具体的にイメージできるようになります。それと同時に、優秀な人材であることを強く印象付けることができます。
貢献できる人材であることをイメージさせる
求職者のスキルや強みをただアピールするだけでは、推薦状の効果は薄いものとなってしまいます。応募先企業の関心を高めるためには、求職者の能力が業務のどの場面で役立つのか、具体的に示す必要があります。
例を挙げると、過去に留学経験のある求職者が英語力をアピールしたとしても、応募先企業で英語を使う機会が全くなければ、おそらく魅力的な能力として認識されないでしょう。このようなケースでは、英語力ではなく留学経験を強みとして捉え、「持ち前の行動力やコミュニケーション力を活かして活躍したい」「学習意欲が高く、新しい環境にスムーズに適応できる」といった内容で勝負した方が、良い結果につながると考えられます。
推薦文を作成する際は、求職者が企業に貢献できることを効果的に伝えることが重要です。「企業が求める人物像」と「求職者のスキルや実績」を結び付けて文章を作成しましょう。
誇張表現や嘘は避ける
推薦文の作成時に注意したいのが、過度な誇張表現です。推薦文では、求職者の強みや魅力を自由に表現できるがゆえに、つい表現が過剰になってしまうことがあります。その結果、実際の求職者と推薦文での求職者とのイメージがかけ離れ、後々のミスマッチにつながってしまいます。
求職者のスキルや実績を実際よりも魅力的に見せれば、書類選考は通過しやすくなるでしょう。しかし、その後の過程でスキル不足や適性の不一致が発覚すれば、不合格や入社後の早期離職につながってしまいます。ミスマッチが続くと、キャリアアドバイザー自身や所属するエージェントの信頼を損なうおそれもあります。
推薦文を作成したら、事実と一致しているか、過度な表現や嘘がないか、提出前に必ず見直しを行いましょう。
事前にテンプレートを作成する
転職エージェントや人材紹介会社によっては、推薦文のテンプレートが用意されていることがあります。あらかじめ構成が決まっている場合は、必要な内容を書き加えていくだけで推薦文を完成させることができます。
一方、推薦文のテンプレートがない場合は、自身で作成することをおすすめします。パターン別にいくつかのフォーマットを作っておくと、推薦文の作成作業が楽になります。テンプレートは繰り返し使用するため、完成したら誤字脱字や不自然な表現がないか丁寧に確認しておきましょう。
求職者はキャリアアドバイザーの推薦文の内容を確認できる?
推薦文を求職者に開示するかどうかは、エージェントによって対応が異なります。お願いすれば内容を確認させてもらえるケースもあるため、担当のキャリアアドバイザーに一度声をかけてみるといいでしょう。
推薦文を確認するメリット
キャリアアドバイザーが作成した推薦文を確認することには、様々なメリットがあります。
内容に齟齬がないかチェックできる
推薦文を開示してもらうことで、求職者は自身のスキルや実績が正しく記載されているかチェックできます。仮に事実と異なる点があれば、書類が企業に渡る前に内容の訂正が行えます。
推薦文の内容について柔軟に対応してもらえる場合は、アピールして欲しいポイントを求職者側からリクエストするのも一つの手です。
自己分析に役立てられる
推薦文には、キャリアアドバイザーによる客観的な評価が記されているため、求職者は自身の強みや魅力を再確認することができます。これまで自分では気付かなかったアピールポイントが新たに見つかる場合もあります。
また、相手に伝わる文章の作り方や、言い換えのスキルを学べるので、今後の転職活動に活かすことができます。
面接対策になる
推薦文の内容を見せてもらうことは、面接対策にもなります。なぜなら、面接の際に企業はキャリアアドバイザーが作成した推薦文の内容に基づいて質問をすることが多いためです。事前に推薦文を確認し、面接対策を講じておけば、面接の場でスムーズに受け答えができるでしょう。
もし、エージェントの意向で推薦文を開示してもらえない場合は、どのようなことが書かれているか大体の内容だけでも確認できると良いでしょう。
キャリアアドバイザーの推薦文は合否を決める判断材料の一つとなる
この記事では、キャリアアドバイザーが作成する推薦文について解説しました。推薦文の効力は、エージェントの信頼性やキャリアアドバイザーの力量に大きく左右されます。転職を検討する際は、豊富な実績を持ち、尚且つ親身になって対応してくれるエージェントへの登録がおすすめです。信頼できるエージェントを選択することで、転職活動をスムーズに進めていくことができるでしょう。
キャリアアドバイザー求人ナビの転職支援サービスではキャリアアドバイザー職を募集する企業の裏側まで熟知したエージェントが転職を支援いたします。推薦文でも、なぜキャリアアドバイザーを目指しているのかなど言語化を行い書類通過率を高めます。
さらに、応募書類作成のサポートや企業ごとの面接対策など徹底した伴走型の転職支援を提供。「書類も面接もこれまでより通過率がダントツに上がった」「年収交渉をしてもらい希望年収が叶えられた」など口コミでも高い評価をいただいています。自身の志向にあったキャリアアドバイザー職を目指している方はぜひ以下ボタンから面談予約してください。
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