2025年1月26日公開
最終更新日:2025年1月26日
「人材業界」の職種はさまざま! 活躍の場の違いや担う役割を解説
人材業界は領域や職種の面で多様な業界だといえます。市場のほぼすべての業種が優良な人材を必要としており、人材業界はそれぞれのニーズに応える必要があるためです。また、業種にかかわらず企業や団体には管理部門や事業部門などさまざまな職種があります。社会が変革する中では、新しい業種や職種も生まれており、拡大するニーズに対応する人材業界は今後も発展が見込めます。
この記事では、人材業界と人材業界の職種に興味を持っていて、転職先として検討している方に向けて基本知識から解説します。
そもそも「人材業界」とは?
人材業界の職種について解説する前に、そもそも人材業界とは何なのかについて解説します。
「人」と「企業」をつないで社会貢献ができる業界
人材業界とは人材の採用や確保に関するサービスを主な事業としている業界です。人は生活の糧を得るためや自己実現を行うための仕事、職場を求めており、企業は事業を継続し利益を生むために、自社の業務遂行に適した人材を求めています。これが求職と求人です。
人材業界では、仕事を探している「人」と人材を求めている「企業」をつないでいます。その結果として社会貢献ができる業界です。人と企業をつなぐことが社会貢献につながる理由は、それぞれの立場では自力での目標達成、課題解決の実現が難しいケースが少なくない求職と求人という課題に向き合い、円滑に進むようにサポートを行うことだからです。
人材業界は人と企業のマッチングを成功に導くことにより、双方の課題解決を支援しています。その結果、人と企業はそれぞれの役割をしっかりと果たせるようになり、社会に役立つ存在となります。つまり、人材業界は人と企業を介して社会貢献をできる業界なのです。
HR業界との違い
人材業界と混同されやすい枠組みとしてHR業界がありますが、似ているようでも同じではありません。人材業界とHR業界の違いは業務範囲の違いであり、業務対象の違いだといえます。人材業界が個々の人材にフォーカスした業務、主として採用に関する業務を扱うのに対し、HR業界はHuman Resources、つまり人的資源を総合的に扱う業界です。
人的資源を総合的に扱うといってもピンと来ないかもしれません。簡単にいえば人事に関する業務を支援するのがHR業界で、人事部の仕事であれば基本的にカバーしています。そのため、採用に関する事柄では人材業界と一部業務が重なっているともいえますが、実際の仕事内容は異なっているのが通例です。
ひとくちに人材業界といってもさまざまな領域がある
ひとくちに人材業界といっても、メインとなる採用の領域だけでなく、人材育成や研修その他の人事領域から広告、システム・ツール関連までさまざまな領域の仕事を担当しています。
事業の種類の違いでみる人材業界
人材業界にはさまざまな事業があります。主な事業は4種類です。それぞれ専門で営業している事業者もあれば、兼業している事業者もあります。ここでは人材業界の主要4事業について主な特徴を解説します。
人材紹介
人材紹介は別名を職業紹介といいます。求人企業から見れば人材紹介で、求職者から見れば職業紹介と呼び分けることができそうですが、明確な呼び分けの基準があるわけではありません。法的には人材紹介ではなく職業紹介の名称が使われており、人材紹介を事業として収益を得る者を職業安定法では「有料職業紹介事業者」と呼んでいます。有料職業紹介事業を営むには、厚生労働大臣の許可が必要です。
人材紹介の業務内容は、求人企業に対してニーズにマッチする人材の採用をサポートするとともに、求職者に対してニーズにマッチする転職先への入社を支援することです。求職者の転職を支援する業務にスポットを当てた転職エージェントという呼び名も一般化しています。
人材紹介のビジネスモデルでは、求職者サポートの料金は原則として無料です。売上を構築するのは、求職者とのマッチングが成功したときに求人企業から受け取る紹介手数料がほぼすべてだといえます。通常、紹介手数料は成功報酬であり、マッチングしなければ料金は発生しません。
人材派遣
人材派遣は求人企業の人材ニーズに応える点では人材紹介と似ていますが、人材紹介が採用のサポートであるのに対し、人材派遣は自社が雇用する社員を派遣する点が大きな違いであり特徴です。自社が雇用してはいるものの、派遣社員が就業するにあたっては、派遣先の指揮命令にしたがいます。人材派遣の法的性格は労働者派遣法に規定されている労働者派遣事業です。労働者派遣事業者として厚生労働大臣の許可を得て営業します。
人材派遣には登録型派遣と常用型派遣があり、登録型派遣は原則として最長3年が派遣の上限期間です。派遣社員は派遣会社と派遣先の契約期間中のみ派遣会社に雇用されます。一方、常用型派遣には派遣の上限期間がありません。また、派遣先との契約があってもなくても派遣会社と雇用契約を結んでいます。
派遣会社の収益源は、主として派遣先企業から受け取る派遣料です。料金は時間単価に派遣時間数と派遣人員の数をかけて算出します。
人材コンサルティング
人材コンサルティングは、人事の特に人材や採用に関する事項のコンサルティングを業務内容とする事業です。採用活動や評価制度など、人事戦略という大きな概念でクライアントの課題解決に向き合います。人材紹介と重なる部分がありそうに見えますが、あくまでもコンサルティングがメイン業務であり、人材の紹介や採用業務そのものの支援をすることは基本的にありません。
したがって、人材コンサルティングの売上はコンサルティング料によって作られます。企業にとって気密性の高い部分に食い込む業務であり、コンサルティング料は比較的高いようです。それだけにより一流の仕事が求められるといえるでしょう。
求人広告
求人広告は求人企業の募集広告を掲載したり、募集広告の作成を支援したりする事業です。求人広告を扱う事業者には大きく2種類があります。広告媒体の運営元と広告代理店です。運営元は自社メディアに掲載する広告を集め、掲載料を受けとります。事業の規模は自社メディアに左右されるため、拡大を目指すならメディアを増やさなければなりません。広告代理店は運営企業を跨いで複数メディアを取り扱うことができるため、掲載料の発生源を増やすことが可能です。
近年の求人広告事業においては、従来型の掲載料ビジネスだけでなく、求職者からの反響に対する成功報酬を導入するケースが増えています。
人材業界の代表的な職種
続いて人材業界の代表的な4種類の職種について、その定義と業務内容を解説します。
営業職(法人営業)
人材業界の営業職は求人企業など、主として法人を相手に活動することから法人営業とも呼ばれています。各企業の人材に関する課題をヒアリングし、解決に向けたアドバイスや施策の提案が主な業務内容です。ただし、事業の種類ごとに特徴があります。
・人材紹介の営業職
求人企業の経営幹部や人事担当者などに営業をかけて人材紹介の契約を獲得し、求人の依頼を受け、クライアントのニーズにマッチする人材を紹介して紹介手数料という名の売上を作る職種です。採用活動が成功するための支援も行います。自社に登録している求職者を紹介するケースが多く、社内での連携が重要な仕事です。他の営業職と区別してリクルーティングアドバイザーと呼ばれています。
・人材派遣の営業職
短期を含む人材の需要をヒアリングし、雇用ではなく派遣という形の解決策を提案し派遣契約を獲得する職種です。ニーズにマッチする人材を選び、登録型派遣の場合は派遣契約のタイミングで派遣社員と雇用契約を結んで派遣先に送り込みます。派遣社員の教育やフォローも業務内容の一部です。
・求人広告の営業職
自社の求人メディアや代理店として取り扱っている求人メディアの広告枠を販売(広告掲載の契約)する職種です。クライアント企業のニーズを把握し、適切なメディアを提案する必要があります。
キャリアアドバイザー
キャリアアドバイザーは、主として人材紹介の事業における職種のひとつです。転職エージェントとして、転職活動を行う求職者の全般的なサポートを行います。基本的に内勤での業務であり、求職者の担当として、リクルーティングアドバイザーの成果を左右する重要な役割を担うことから、内勤営業と呼ばれることもある職種です。求職者の転職活動が終わるまで、または入社して一定期間が経過するまでサポートを続けます。
▼キャリアアドバイザーの基本知識や具体的な仕事内容についてはこちらの記事でも総合的に解説しています。
キャリアアドバイザー(人材紹介)ってどんな仕事内容?業務の詳細を徹底解説!
人事コンサルタント
人事コンサルタントは企業の人事全般に関する課題に対してソリューションを提案したり、人事戦略の立案を支援したりする職種です。人材コンサルタントと似た名称ですが、人材コンサルタントよりも広い範囲の業務を行います。また、人事に関するアウトソーシングの受け入れを行うケースがあります。
マーケティング
人材業界におけるマーケティングは、求職者や求人企業の動向やニーズの分析、市場動向の調査、自社メディア・サイトの構築やサービスの検討などを行う職種です。マーケターとしての専門知識が必要です。
「リクルーティングアドバイザー(RA)」と「キャリアアドバイザー(CA)」のさまざまな違い
リクルーティングアドバイザー(RA)とキャリアアドバイザー(CA)は、人材紹介の現場で表裏一体と呼んでもよいくらい密接に関連した職種です。人材のマッチングを成功させるというミッションに向けて、求人企業担当と求職者担当に分かれて業務を遂行します。ここでは、この2種類の職種の違い、役割について解説します。
RAは一般に既存顧客である求人企業の担当者として、採用に関する課題に対するソリューションの提案や、人材紹介契約に基づく人材の紹介を行います。営業職であることから、売上を作って利益を上げることが最大の任務といえ、求人企業の担当者との人間関係作りが欠かせない点がCAとの大きな違いです。
RAが売り込む商品は人材であり、登録型と呼ばれるサービスにおいては、自社に登録している求職者を紹介します。サーチ型と呼ばれるサービスであれば、自社の登録者だけが紹介の候補ではありません。他社の登録者や現にどこかの企業で勤務している人にまで範囲を広げてニーズにマッチする人材を探します。
その際、有力なツールとして活用されているのが各種のSNSです。サーチ型はヘッドハンティング型とも呼ばれており、経営幹部や上級職の採用を目的とするケースが多くなっています。
自社に登録している求職者を紹介するケースを例として、RAの一般的な業務内容を紹介します。
・顧客探索
RAは一般に既存顧客を担当すると述べましたが、多くの場合、既存顧客だけでは目標とする数字に足りない可能性があります。そこで新規顧客の開拓が必要です。電話やメールを利用したアプローチに加え、広告の活用や関係者などの紹介も有効な新規開拓の手段となります。
・商談
人事部の担当者や経営幹部と面談し、採用活動の問題点などをヒアリングします。いきなり本題に入れるケースは少なく、まずは人間関係の構築が重要です。焦らずに徐々に食い込んでいくイメージで進め、具体的な話になったらニーズを把握して条件交渉を行い、人材紹介契約を締結します。
・求人票作成
求人企業のニーズを正確に反映しながら、求められている人物像がイメージしやすく、求職者に興味を持たせる工夫を盛り込んだ求人票の作成を行います。また、求人票に記載しない情報も含めて社内で共有することが重要です。連携・協力が不可欠なCAには、細かいニュアンスも含めて情報を伝えます。
・進捗対応
求職者が応募することになれば、CAを通じて回ってくる応募書類のチェックが必要です。書類がキチンとできていれば求人企業に提案します。修正が必要な場合はCA経由で内容を伝え、修正後に提案します。その後は面接〜内定〜採用と進み、入社後一定期間が過ぎるまで、CAと連携しながらのフォローが必要です。
CAはRAとは異なり自社に登録している求職者を対象とした内勤営業です。登録者の集客が業務内容に加わるケースがあります。集客に使用する主な手段はSNSや広告、オウンドメディア、紹介などです。
・キャリアカウンセリング
求職者の転職活動をサポートするうえで、序盤におけるキャリアカウンセリングは重要なイベントです。現状の活動状況や転職に求める事柄など必要な事項をヒアリングしつつ、有効なアドバイスを送ります。ただし、人間関係ができていないと深い話にならない可能性があるため、急ぎ過ぎないことが重要です。その後は適宜、面談対応を行います。
・求人紹介
求職者の希望に沿う求人、求人企業とのマッチング度合いが高いと考えられる求人があれば紹介します。CAとしてピックアップした求人の紹介だけでなく、システムで共有した求人の紹介にも対応が必要です。
・推薦対応
求職者の応募が決まれば、推薦対応を行います。最低限、履歴書や職務経歴書の作成支援が必要です。書類の作成支援については、事前に準備しておくことで円滑な応募が可能になります。また、多くの場合で推薦状の作成が必要です。この求職者を採用することで、これだけのメリットがあるとイメージできるような内容を心掛け、すべてが揃ったらRAにつなぎます。
以降は面接準備支援~面接~内定〜入社の各段階でRAとの連携のもと、必要な支援策を講じます。また、入社後一定期間が経過するまでのフォローが必要な点はRAと同じです。長期勤務の環境を整えるためですが、早期退職による成功報酬の一部返金を防ぐ目的もあります。
以上のようなRAとCAの分業は、大手の総合型人材紹介事業者に多く見られる体制です。事業者によっては両手型と呼ばれる1人で両方を担当する体制があります。カバーする業種を絞った特化型のサービスを提供するケースが比較的多い中小規模の事業者に多くみられる体制です。特化型でなくても、少数精鋭の業務遂行として両手型の体制をとる事業者もあります。
人材業界で働くことの魅力
人材業界は魅力の多い業界だといわれています。主な魅力は以下のとおりです。
さまざまな人とコミュニケーションをとれる
特定の業種や職種に特化したサービスは別にして、人材業界で働くことで、さまざまな人とコミュニケーションがとれるようになります。人材業界では世間のありとあらゆる業種や職種の人と出会う機会が少なくないことや、状況に応じたソリューションの提案が必要で、対人関係スキルが磨かれるためです。知識や経験値が増えて人脈が自然に広がることもあり、キャリア形成を考えている人には魅力があります。
人の人生の転機や成長に関わることができる
求職者にとって人生の転機になる転職を支援するという大役を任される点も、人材業界で働く魅力です。自分がサポートすることで成長を促すことができれば、自己肯定感も上がるでしょう。
変化や刺激が多く、飽きずに働ける
幅広い分野に触れることができ、多くの人と出会える人材業界は刺激の多い業界であり、働いているうちに飽きてしまうことはまずないでしょう。職種によっては定型的な業務がメインにはなるものの、その内容は個々で異なるため、次の展開を考えるなど頭を使うことも多いといえます。
さらに、社会の変革スピードが速くなっている昨今では、働き方の違いや求人ニーズの違いに対応する必要もあり、飽きる暇がありません。
求職者や企業から感謝される
クライアントからストレートに感謝される点も、人材業界の大きな魅力のひとつです。たとえばリクルーティングアドバイザーなら、紹介した人材が入社するなど、担当する求人企業の人材に関する課題解決に役立ったことに対する感謝の言葉があります。
キャリアアドバイザーであれば、転職活動に寄り添った求職者が希望する企業に採用された際の感謝の言葉です。他にも人材コンサルタントやマーケティングなど、それぞれの職種でノウハウやスキルを発揮した結果、感謝される場面があります。
さまざまな業界に関する知識が深まる
さまざまな業界にかかわることにより、各業界に関する知識が深まる点も魅力のひとつです。知識の深まりを実感できるようになると、もっと幅広く、さらに深い知識を得ようと欲が出るかもしれません。
▼人材業界のやりがいについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
https://cakyujin-navi.com/articles/column/knowledge/71
こんな人には特に人材業界がおすすめ!
魅力が大きい人材業界は多くの人におすすめの業界ですが、ここでは特に向いており、おすすめといえる人のタイプについて解説します。
コミュニケーションが得意、苦手意識がない人
人間関係を構築し、求人企業や求職者のニーズを引き出し、ソリューションの提案を行う人材業界において、コミュニケーションが得意な人、苦手意識がない人は適性が高いといえます。微妙なニュアンスも含めて、しっかりとやりとりできる人には人材業界がおすすめです。
さまざまな出会いを楽しみたい人
さまざまな出会いを楽しみたい人には、さまざまな業種で多岐にわたる職種に就いている人たちとかかわることが多い人材業界がおすすめです。自分の知らない領域で活躍する人との交流や、新しい話題に新鮮な驚きを感じることができるでしょう。
ビジネスや職種など、世の中のことを広く・深く知りたい人
ビジネスや職種など、世の中のことを広く・深く知りたい人にも人材業界がおすすめです。人材業界はほとんどの業種や職種の特性に合わせたサービスの提供を行うことから、それぞれに特有の事情を知っておく必要性に迫られます。また、その環境に身を置くことで、自然に知見を深めることが可能です。
感情的にならず、課題と冷静に向き合える人
感情的にならず、課題と冷静に向き合える人には人材業界がおすすめです。人材業界の仕事は論理的な戦略の立案や、客観的な判断に基づく施策が求められます。人材業界はどのような状況に陥ったとしても、落ち着いて課題解決に向かえる人に適性がある業界です。
情報収集が苦にならない・得意な人
情報収集が苦にならない・得意な人にも人材業界がおすすめです。人材業界は何をするにしても情報が鍵を握っており、情報収集が必要不可欠となっています。求人企業や求職者のニーズという情報の収集、ソリューションに関する情報収集との縁は切っても切れません。
人材業界はさまざまなタイプの人が活躍する人気業界
人材業界にはさまざまな職種があります。人材紹介や人材派遣、求人広告などの法人営業、キャリアアドバイザー、人事コンサルタントにマーケティング職と幅広く、それぞれに必要なスキルや特性には共通点もある一方で、異なるものが少なくありません。
そんな人材業界は、さまざまなタイプの人がいて、それぞれの場所で活躍している人気業界です。転職を考えているなら、自分のタイプにマッチした職種を探してみましょう。
人材業界の営業職に興味のある方は、キャリアアドバイザー求人ナビの転職支援サービスをご活用ください。書類通過率を高める職務経歴書作成のレクチャーや内定率を高める面接対策などしっかり時間をかけて実施し、人材業界営業職への転職成功を目指します。まずは以下ボタンより、面談予約してください。
基礎知識のおすすめ記事
-
2025/01/26
「人材業界」の職種はさまざま! 活躍の場の違いや担う役割を解説
-
2024/09/28
キャリアアドバイザー(人材紹介)転職時の年収はどれくらい?固定報酬メイン/インセンティブメインの求人タイプ別に解説
-
2024/10/16
キャリアアドバイザー(人材紹介営業)職でホワイト企業に転職する方法
-
2024/10/16
キャリアアドバイザー(人材紹介)は未経験からでも転職できる?営業未経験でも応募可能な求人例あり