2025年3月7日公開
最終更新日:2025年3月7日
人材業界の離職率は高い?離職や転職をする理由や改善への取り組みを解説
人材紹介や人材派遣サービスなどのビジネスモデルが存在する人材業界。人材業界への就職や転職、またはほかの企業への同職種での転職を検討しているものの「人材業界の離職率は高い?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
本記事では、人材業界における離職率の現状とともに、離職率が高くなる理由、各企業の改善への取り組みなどの役立つ知識を解説します。
▼人材業界の仕事内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。
人材業界の仕事内容とは? 職種の特徴や今後の動向、転職するメリットやキャリアパスを解説
人材業界の仕事と離職率の現状
人材業界にはさまざまな職種が存在し、それぞれで担当する業務が異なります。職種別の仕事内容の特徴や、離職率の現状と実態を解説します。
人材業界の仕事の実態
人材業界の職種は、大きく営業職とコーディネーター職のふたつに分かれます。営業職は企業へのアプローチ(法人営業)を行い、人材ニーズをヒアリングし人材紹介や派遣の契約を結ぶ職種です。人材紹介会社や転職エージェントのリクルーティングアドバイザーや、人材派遣会社の営業職などが該当します。
コーディネーター職は求職者の要望や希望をしっかりヒアリングしたり、就職や転職に関する相談を受けたり、採用までのフォローを行ったりといった、企業とのマッチングを行う職種です。たとえば人材紹介会社のキャリアカウンセラーや、人材派遣会社の派遣コーディネーターが該当します。
いずれの職種も、人事領域にて求職者や転職希望者と企業をマッチングさせることを目的に業務を行っています。
人材業界の離職率の現状
厚生労働省発表の「令和4年雇用動向調査結果の概況」(※1)の資料データを見ると、人材業界は「サービス業(その他に分類されないもの)」に該当し、このサービス業での離職率は全産業中で二番目に高い19.4%となっています。
上記資料においては人材業界だけの離職率に絞った詳細なデータはなく、他の産業や業種も含めた平均的な離職率となっているため一概には言えませんが、他の業種と比較すると人材業界が属するサービス業での離職率は高めであることが伺えます。
様々な人材業界に関する情報サイトを閲覧すると、一説には、「人材業界の年間離職率は15%前後」との情報もみられます。
※1 出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/gaikyou.pdf
人材業界の離職率が高い背景にあるさまざまな要因
人材業界は、例えば口コミやインターネット上の情報で「企業がブラック」「激務」などと見聞きすることもあり、このイメージが先行して「だから離職率が高いのかな」と考えている方もいるかもしれません。人材業界の離職率を引き上げる原因として一般的によく言われる要素を並べると、以下の通りです。
・営業ノルマが厳しい
・長時間労働による激務
・対人業務へのストレス
・賃金が低い
・キャリアアップが難しい
・その他の理由
それぞれの要素について、以下で詳しく解説します。
営業ノルマが厳しい
人材業界の営業職では、企業によっても異なりますが一般的にノルマが課されることも多いです。ノルマはおもに求職者の入社達成数や達成率、企業とのマッチング成立数などが該当します。厳しいノルマを課されたり、ノルマ達成へのプレッシャーが高かったりすることで、毎日というように精神的な負担を感じ続ける人もいるでしょう。
長時間労働による激務
人材業界の各職種は、業務内容が多岐にわたるため拘束時間が長くなる傾向にあります。たとえば営業職は勤務中ほとんど外にいるため、決まった時間や疲れを感じた際などに休憩をとることができない状況も多いでしょう。取引先の都合に応じて動くことが多く、取引先の数が多いとそれだけスケジュール管理もしにくくなります。求職者と企業、または派遣社員と派遣先の間でトラブルが起きたならば土日にも稼働する必要が生じ、そもそも取引先企業や派遣先企業が土日営業の場合は土日に休めません。
コーディネーター職の場合も、求職者の都合に合わせて面談時間を設定する必要があります。在職中の求職者が転職エージェントなどのサービスを利用する場合、現職の仕事が終わった後の時間帯に面談を希望することも一般的です。そのため、19時以降など遅い時間までの勤務が必要となるケースもたくさんあります。
人材業界のビジネスモデルや企業の規模によって、業務量が増えてしまうこともあります。たとえば人材業界で取り扱うのは人材サービスといった無形商材のため、事業に新規参入しやすいのが特徴です。そのことから、必然的に中小企業やベンチャー企業も多く存在しています。企業の規模が小さいうちに顧客拡大を急いでいる企業などにおいては、社員ひとりあたりの業務量がどうしても過大になる、といったことも、長時間労働につながる理由のひとつです。
対人業務へのストレス
人材業界は求職者と企業とのマッチングを目的とした事業を行っているため、人材業界の営業職やコーディネーター職は日常的に多くの人と接することになります。企業の担当者や求職者からの相談を受けたり、クレームを受けたりといった状況が続き、対人関係による大きなストレスを感じる人もいるでしょう。また、人材業界に限りませんが、社内の職場での人間関係に悩んで離職するケースもあります。
賃金が低い
人材業界の各職種は業務量が多く長時間労働になりやすいです。企業によっては、労働時間に対して賃金が低いという状況もあるかもしれません。収入と仕事量のバランスが見合わないことを理由に、離職する人もいます。
キャリアチェンジが難しい
人材業界では、担当する業務の特性上、片面型の営業職から片面型のコーディネーター、またはその逆へのキャリアチェンジが難しいことがあります。異なる働き方や職場環境を求めて離職する人もいるでしょう。
その他の理由
他にも以下のような離職理由があります。
・入社前と後で、思っていたものと実際の業務内容や職場環境に大きなギャップがあった
・毎日同じことの繰り返しで業務が単純化しやすい
・求職者の人生を左右する決断をする必要があるなど、責任が重いことが心理的負担になった
・成果に対して正当な評価が受けられない
離職率を改善するための人材業界の取り組み
従業員の離職・転職を防ぐために人材業界の各企業では、職場環境や労働環境を改善するためのさまざまな取り組みを行っています。具体的な取り組み例をご紹介します。
ノルマの見直しやモチベーションを高める工夫
営業ノルマ自体がきつい場合、ノルマの見直しを行う企業もあります。また、ノルマ達成など優秀な成果を上げた社員に対して定期的に表彰する制度や、成果をきちんと給料に反映するインセンティブ制度を取り入れる企業もあります。ノルマ達成へのモチベーションを上げたり、達成を正当に評価したりすることで、離職率の改善につなげている企業が多くみられています。
柔軟な働き方の実現
以下のような、社員の拘束時間をなるべく短くするための取り組みや、柔軟な働き方を実現している企業もあります。
・フレックスタイム制度の導入
・長時間労働の是正
・リモートワークの導入
・社員ごとに、あらかじめ対応可能な求職者面談時間を設定する
・独自の休暇制度の採用
分業制やツールの導入
多くなりがちな業務量を是正するために、以下のような取り組みが行われています。
・営業職とコーディネーター職の兼務制(両面型)を分業制(片面型)にする
・人材紹介や派遣のサービス範囲を職種や業種限定、エリア限定などの特化型にする
・デジタルツールを取り入れて定型的な業務を効率化する
人材紹介や派遣のサービスを特定の職種のみ対象にする、地域を限定するなどの取り組みは、登録する求職者や取引先企業そのものが減少します。しかし母数が少なくなった分、アプローチやサービスの質を高めることで成約率の向上につなげ、業務を減らしながらも利益を出しているという企業はたくさんあります。
ミスマッチ防止
求職者と企業、派遣社員と派遣先でミスマッチが発生すると、早期離職への対応や新しい人材の紹介などの業務負担が発生します。あらかじめミスマッチを防ぐために、面接の回数を増やす、現場の社員と面談する機会を設けるなど、効率的なマッチングへの取り組みも、業務負担を減らすことに有効です。
社内での連携や共有をしやすくする
社内での連携強化や情報共有のしやすい体制を構築することで、業務の効率化や社内での良好な人間関係構築につながります。たとえば社内SNSを導入することで、他の社員との情報共有が簡単にできるようになります。SNSを通じてノウハウが蓄積され、業務の効率化や生産性の向上も期待できるでしょう。
さらに、社内SNSを活用すれば社外にいる社員ともリアルタイムで連絡がとれます。外回りの営業職の多い人材紹介業や人材派遣業でも、社員同士のコミュニケーションの活性化につながるでしょう。人間関係や仕事の悩みなどを、気軽に上司や同僚に相談できるツールとしても有用です。
メンタルヘルスケアの充実
肉体的、精神的な負担を抱える社員向けに、以下のようなメンタルヘルスケアを目的とした取り組みを行う企業もあります。
・休む時間を確保しやすい職場環境への是正
・定期的な健康診断の実施
・産業医との面談の実施
・一定数以上の従業員のいる事業所への産業医の配置
・本社とエリアに保健師を配置して健康観察を実施
・従業員向けのe-ラーニング内で健康管理に関する内容の学習を提供
・ウォーキング大会などの社内イベント開催
・ストレスチェックおよび高ストレス職場の環境改善
・メンタルヘルス不調や問題を早期発見するための独自マニュアル作成
・メンタルヘルスに関する指針の設定
・メンタルヘルス不調による休職者のための職場復帰支援
人材業界は離職率ではなく転職理由や条件を見ることが重要
人材業界の離職の原因となる要素は例に挙げたように多くみられるものの、実際の転職理由を見ると、決してネガティブなものだけではありません。また、企業によって条件や労働環境も異なるため、自分自身が人材業界へ転職するときには条件をしっかり確認することも重要です。
人材業界で他に考えられる転職や離職の理由と、納得のいく企業への就職・転職を実現するために確認すべき点を解説します。
人材業界での様々な転職理由
人材業界の、おもなネガティブな転職理由は以下の通りです。
・目標が高い、ノルマがきつい
・残業が多すぎる
・給料が低い
・取引先との人間関係
一方でネガティブな理由以外にも、以下のようなやむを得ない事情や、ポジティブな理由で転職・離職を決断する人もいます。
・結婚や出産などのライフイベント
・家族の転勤や引っ越し
・キャリアチェンジ、キャリアアップ
・独立起業 など
人材業界への転職を考えるときには、離職率だけでなく個々の離職の理由を確かめることも重要です。
人材業界で納得の企業を見つけるために確認すべきポイント
人材業界で自分が納得して働ける企業を見つけるために、以下のポイントを踏まえておきましょう。
・口コミサイトやSNSで実際にその企業で働いた人の意見を参考にする
・面接時に待遇を詳細まで確認しておく
・その企業の平均勤続年数や売上を調べる
・転職サービス利用時は、キャリアアドバイザーなど担当者によるヒアリングで、自身の強みや要望、希望の優先順位などをしっかり掘り下げてもらう
口コミサイトなどでは、人材紹介会社、人材派遣会社で実際に働いた経験を持つ人からの意見や口コミが閲覧できます。良い意見だけでなく悪い意見、実際的な現場感を伴った感想も参考にできるのがメリットです。企業の働きやすさや給与に関する満足度、離職率、職場の雰囲気などを確認しましょう。
採用面接を受けるときには、残業時間や年間休日などの具体的な待遇や働き方、業務内容について確認しておくことがおすすめです。あらかじめ面接時に確認することで、入社後のミスマッチを防げます。
平均勤続年数や売上規模を調べるのも重要です。平均勤続年数からは、社員の定着度が把握できます。極端に平均勤続年数が短い企業は、すぐに辞めてしまう社員が多く、職場環境に何らかの問題が発生している可能性があります。
売上規模が大きい会社は安定的な事業展開ができていることに加えて、資金力が高いことの証明にもなります。労働環境の整備やメンタルヘルスケアにも資金を費やしてもらえる可能性が高いでしょう。
転職エージェントなどのサービスを利用して就職や転職を行う場合には、担当者へしっかりヒアリングをしてもらうことが重要です。自分自身の希望や待遇面での要望などをきちんと伝えるようにしましょう。
人材業界への転職を目指したいときには、人材業界の職種に特化した支援サービスを利用することで、効率的かつ納得の転職が実現できる可能性が高まります。
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人材業界では離職率改善に取り組む企業も多くある
人材業界の離職率や離職理由、離職を防ぐための企業の取り組みや転職を成功させるためのポイントなど解説しました。
人材業界は離職率が高いイメージがあるものの、離職率改善のための取り組みを行う企業側の動きも広まっています。転職支援サービスなどを利用し、人材業界への納得のいく転職を実現させましょう。
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