2025年1月10日公開
最終更新日:2025年1月26日
人材業界の平均年収は言われるほど低い? 企業のランキングも交えて解説!
人材業界は儲かっていると聞こえてくる一方で、やめとけと言われることもあり、平均年収が低いのではないかとの疑問もあるようです。そこでこの記事では、人材業界の平均年収について、企業のランキングや人材業界に向いている人の特徴なども交えて解説します。
人材業界の平均年収
人材業界の平均年収が高いか低いかは一概に断定できません。人材業界全体としての平均年収は調査によって異なっており、400万円程度から600万円以上とするものまで様々です。これほど大きな幅がある理由としては、調査対象の選び方が大きく影響していると考えられます。一般に大手の企業を中心に数字をとった調査では高くなる傾向があるほか、業種による違いや職種による違いもあるため、平均年収を見る際は注意する必要があるでしょう。
人材業界の平均年収は4種類の業種によって異なる
人材業界の平均年収には業種による違いがあると述べましたが、人材業界には主要な業種が4種類あります。人材紹介業と人材派遣業、求人広告業と人材コンサルティング業の4種類です。ここでは各業種の概要と平均年収について解説します。
人材紹介業
人材紹介業は職業安定法に定められた有料職業紹介事業を営んでいる許可業種です。求人企業と求職者の出会いを取り持ち、お互いのニーズにマッチする雇用契約が結べるようにサポートします。求人企業に対しては採用に関する全般的な支援を行うケースがあり、求職者に対しては転職活動全般に寄り添った支援を行います。
人材紹介業のビジネスモデルでは求職者は無料で、採用が決定したときに報酬として求人企業に紹介手数料の支払いが発生する成功報酬制が一般的です。紹介で入社した求職者が短期間で退職してしまう場合に備え、ペナルティとして一部返金の契約が結ばれるケースがあります。
人材紹介業の平均年収は、2020年のマイナビエージェントの調べ(※1)によると376万円となっています。20代では348万円なのに対し、30代では430万円です。
※1 出典:マイナビエージェント「業種別平均年収ランキング【2020年版】」
https://mynavi-agent.jp/helpful/income2020/industry/service02/
▼人材紹介における返金規定については、こちらの記事で詳しく解説しています。
人材紹介業に携わる人が知っておくべき「返金規定」とは? 最新の「6ヶ月以内離職」規定についても詳しく解説
人材派遣業
人材派遣業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」に規定される許可業種で、文字通り人材ニーズのある企業に労働者を派遣する事業を行っています。人材紹介業とは異なり、顧客となる企業は従業員を募集しているわけではありません。多くの場合、一時的な人員不足の解消が目的です。
派遣する労働者の雇用主は人材派遣業者で、有期雇用契約の場合の派遣期間は基本的に最長で3年となっています。人材派遣業の収益源は契約期間と派遣人員に応じた派遣料金です。また、人材紹介にあたる紹介予定派遣として、最長6ヶ月の派遣期間を経て、労働者と派遣先企業の双方が合意すれば派遣先企業の直接雇用に移行する仕組みがあります。
人材派遣業の平均年収は、業界動向サーチの2022-2023年分データ(※2)によれば559万円と人材紹介業よりも高額です。
※2 出典:業界動向サーチ「人材派遣業界の動向や現状、ランキングなど」
https://gyokai-search.com/3-haken.htm
求人広告業
求人広告業は、企業の求人を自社の求人メディアまたは自社が代理店を務める求人メディアに掲載して掲載料を得るビジネスです。近年では掲載料をとらずに求職者の応募に成功報酬を設定するビジネスモデルも増えています。
求人広告業は人材紹介業や人材派遣業のような許可は必要ありません。しかし、職業安定法に定める特定募集情報等提供事業を行うには厚生労働大臣へ届け出る必要があります。ただし、Webなどを使わず紙媒体のみで情報を提供する場合は届出不要です。同法によると特定募集情報等提供とは、「労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供」と定義されています。
求人広告業の平均年収は、2020年のマイナビエージェントの調べ(※3)によると375万円です。
※3 出典:マイナビエージェント「業種別平均年収ランキング【2020年版】」
https://mynavi-agent.jp/helpful/income2020/industry/service03/
人材コンサルティング業
人材コンサルティング業は、人事全般に関する課題解決を図るサービスを提供する業種です。あくまでもコンサルティングが仕事であり、人材紹介を行うわけではありません。ただし、人材紹介業の業務範囲にもコンサルティングが含まれていることから、両者を混同してしまう見方もあるようです。
一般的にはコンサルティングを専門とする人材コンサルティング業のほうがより広くて深い範囲をカバーすると考えられます。しかし、大手の企業では人材紹介と人材コンサルティングをトータルで行なっているケースもあり、今後の行方に注目です。
人材コンサルティング業の平均年収は、求人ボックス 人材ナビのデータ(※4)によれば2024年の時点で539万円となっています。
※4 出典:求人ボックス 人材ナビ「人事コンサルタントの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
人材業界の平均年収~企業ランキング
ここでは業界の平均年収ではなく、人材業界に属する企業の平均年収に着目し、ランキングトップ5と当該企業の概要を解説します。
第1位
人材業界の平均年収ランキング第1位は、963万円のエンワールド・ジャパン株式会社です。1,000万円に近い金額で2位以下を引き離しています。
エンワールド・ジャパン株式会社は1999年、ウォールストリートアソシエイツ株式会社として設立され、2010年にエン・ジャパングループ会社となり、2012年に現社名となっています。人材紹介業と人材派遣業のほか、経営層の転職や採用の支援、採用代行サービスなどをグローバルに展開する人材サービス企業です。
第2位
平均年収824万円でランキング2位につけているのが、ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社です。
ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社は、世界31か国で人材紹介業をはじめタレント・アドバイザリーや採用アウトソーシングを展開するロバート・ウォルターズ・グループの日本法人として日本にマッチした人材サービスを提供しています。
第3位
平均年収ランキング第3位は766万円でヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社となっています。
ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社は2001年に設立された、人材紹介と人材派遣、採用アウトソーシングなど、人材サービスをトータルで提供する企業です。外資系人材紹介会社としては国内初のプライバシーマークを取得しています。
ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社公式サイト
第4位
ランキング第4位はRGFタレントソリューションズ株式会社で、平均年収は753万円です。
RGFタレントソリューションズ株式会社はリクルートグループの人材紹介企業で、エグゼクティブに特化したサービス「RGFエグゼクティブ サーチ ジャパン 」を提供しています。また、経営幹部からマネージャー層を対象としたサービスや、若手・中堅のミドルマネジメント層が対象のサービスを、それぞれ別名で展開中です。
第5位
平均年収730万円で第5位となったのが、MIフォース株式会社です。
MIフォース株式会社は、MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)やMR(メディカル・リプレゼンタティブ)の派遣のほか、ナースや医療機器営業の人材需要にも応える医療関連に特化した人材サービス企業です。また、製品のセールスやマーケティングを含んだ受託型のサービスも手掛けています。
(※以上のランキングは、2025年1月時点のOpenWork(※5)に掲載されているものです。)
※5 出典:OpenWork「【2025年1月最新】平均年収ランキング|人材サービス業界で年収が高い企業TOP20」
https://www.openwork.jp/income_ranking/field?id=0070
人材業界の平均年収はそこまで低いわけではない
結局のところ、人材業界の平均年収は低いのか低くないのかどちらでしょうか。4つの業種別に見た平均年収では、375万円から559万円まで実に1.5倍近い差がありました。どの業種を選ぶかによって、年収は低くもなれば高くもなるというのが実態です。
続いて、日本の給与所得者の平均年収と比較して、低いのか低くないのかを見てみましょう。直近のデータとして国税庁が発表している令和5年分民間給与実態統計調査(※6)を見ると、令和5年(2023年)末の日本の給与所得者6,068万人中、年間を通して給与所得を得た5,076万人の平均給与(年収)は460万円です。
年度が違う点は考慮する必要があるかもしれませんが、この数値は先に述べた人材業界の業種別平均年収のデータ(人材派遣業559万円、人材コンサルティング業539万円、人材紹介業376万円、求人広告業375万円)と比較して高低があるものです。人材業界と全国平均の差は-85万円から+99万円となっています。
少し前のデータとの比較では、令和2年分の民間給与実態統計調査(※7)が示す給与所得者の平均給与433万円との差は-78万円から+126万円です。以上のことから、人材業界の平均年収を全体で見た場合、そこまで低くないのみならず、高年収を狙うことも可能な状況です。
※6 出典:国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2023.htm
※7 出典:国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2020.htm
▼人材業界の年収の話題は、こちらの記事でも取り上げています。
人材業界がブラックで年収低い理由とは? 本当にやめとけと言われるほど低いわけではない点を徹底解説!
人材業界がやめとけと言われる理由は様々
人材業界はやめとけと言われる理由は様々あります。平均年収の額が無関係とは言い切れません。ここではやめとけと言われる主な理由を4つ紹介します。
激務の割に平均年収が高くないと感じられる
人材業界は定時で返れる仕事が少ないと考えられています。とくに人材紹介業は求職者の都合に合わせたサポートをする必要があるため、日中は他の業務を遂行しつつ、夜間や休日に面談や面接対策を行うことが珍しくありません。長時間勤務で激務の割に年収が高いとは思えない人が多くなれば、やめとけと言われるケースも増えるでしょう。
数字に追われる
人材業界ではノルマと呼ぶか否かは別にして、常に目標の数字を意識して追いかけることになります。順調に数字を上げているときはよいですが、思うように成果が出ないと数字に追われる状況に陥りかねません。結果として疲弊してしまい、注意喚起も含めてやめとけと言われることになります。
単調な作業の繰り返しでやる気を失う
人材業界では様々な仕事があるものの、同じ職種では日常業務の内容が固定化されやすいといえます。たとえば、人材紹介業で求職者のサポートを担当する場合、電話での相談や面談、求人の紹介、応募書類の作成支援、面接準備といった流れの繰り返しがメインの業務です。
考え方次第ではあるものの、「代わり映えのしない単調な作業が続く。しかも、年収が高いわけでもない」とやる気を失ってしまう人がいても不思議ではありません。その結果、人材業界はやめとけとの言葉につながります。
結果が出るまでに時間がかかり思うように進まない
人材業界の仕事は今やって結論が今出るといったものではなく、地道な努力の積み重ねの先に成果が待っています。とはいえ、成果が出るまでに時間がかかれば評価につながりにくい感を抱きがちです。そのなかでうまく行かない案件が出てきたり、クレームが入ったりすれば辞めたくなってしまうこともあります。このような経験が、やめとけとのアドバイスに至る理由の一つです。
平均年収だけで語れない人材業界のやりがい
人材業界は実はやりがいが大きな業界であり、平均年収の額が高いとか低いとかだけでは語れません。ここでは代表的なやりがいについて解説します。
求職者の新しい門出をサポートする
求職者にとって人生の重要な場面となる転職をサポートできる人材紹介業では、転職成功に導けたときの達成感が大きなやりがいにつながります。方法こそ違うものの、新しい門出をサポートする仕事である点は人材業界の他の業種も同じです。
自分の成長を感じられる
求人企業が抱える難しい課題を解決に結びつけられたとき、達成が容易ではない目標をクリアできたときなどに自分の成長を感じられ、さらなる頑張りにつながります。
独立に向いている
人材業界の仕事は属人性が強い部分があります。数字を追いかけ結果を出す過程で仕組みやノウハウを吸収し、経営感覚が養われることで独立してもやっていける可能性が増すことも珍しくないでしょう。また、キャリアアドバイザーが活躍する人材紹介業は参入のハードルが低いことも独立志向の人に有利です。
▼人材業界のやりがいについては、こちらの記事でも解説しています。
人材業界はやりがいがある? 将来性や向いている人の特徴を解説
人材業界はこんな人に向いている
本記事では人材業界の年収面を大きく取り上げていますが、どのような業界であっても「その業界の仕事が向いているか」という点もとても大切です。ここでは、どのような人が特に人材業界に向いているかを解説します。
コミュニケーション能力が高い人
人材業界の仕事では人と向き合うことで目標達成を目指します。求人企業や求職者の希望や情報を聞き取ったり引き出したりするだけでなく、信頼関係を構築するうえで、コミュニケーション能力が高い人はそれだけで有利なポジションにあるといえるでしょう。
年収がすべてではない人
仕事にやりがいを求める人や誰かの役に立ちたい人、困難に立ち向かって自分を成長させたい人など、年収がすべてではない人は人材業界に向いています。
打たれ強い人
打たれ強い人は人材業界に向いています。人材業界の仕事は簡単にできるものではなく、顧客から厳しい要求を突き付けられたり、きつい言葉を投げられることも少なくないためです。
コツコツ頑張れる人
結果が出るまでに時間がかかるケースが多い人材業界の仕事は、状況の変化にも一喜一憂せずコツコツ頑張れる人に向いています。
責任感が強い人
責任感が強い人は、個々に求められる要求が大きい人材業界の仕事に向いています。途中で投げ出すようなことがあれば、求職者の人生や求人企業の業績に悪影響をもたらすおそれがある仕事です。
情報に敏感な人
情報に敏感な人は人材業界に向いています。人材業界は日々、顧客や市場に関する様々な最新情報を収集して選択分析し、結果につなげる必要があるためです。
人材業界でおすすめの職種3選
人材業界でおすすめの職種3選を紹介します。
キャリアアドバイザー
キャリアアドバイザーは目標を達成したときの獲得数字が大きい職種であり、インセンティブなどで年収を増やしやすい職種だといえます。主な仕事内容は、求職者の転職活動を二人三脚でサポートし、長く勤務できる求人企業への入社につなげることです。売上を直接作るポジションではありませんが、求職者を担当するキャリアアドバイザーの仕事がリクルーティングアドバイザーの営業活動に大きく影響することは間違いないでしょう。
▼キャリアアドバイザーの基本知識や具体的な仕事内容についてはこちらの記事でも総合的に解説しています。
キャリアアドバイザー(人材紹介)ってどんな仕事内容?業務の詳細を徹底解説!
リクルーティングアドバイザー
法人営業であるリクルーティングアドバイザーは、キャリアアドバイザー以上に目標達成による年収アップを狙える職種です。リクルーティングアドバイザーは求人企業を担当し、人材紹介だけでなく採用に関する支援も行い直接売上を作ります。人材紹介会社によりますが、キャリアアドバイザーが兼務するケースも珍しくありません。
Webマーケター
人材業界においてもITの高度化が進んでいます。そんななかでWebマーケターの存在感は大きくなっているといえるでしょう。求人メディアのみならず各種オウンドメディアの運用、コンテンツマーケティング、SEOなどは専門性が高く広がりを見せるなかで活躍の場は多くなっています。エンジニアなど他の職種との連携が重視されるWebマーケターにもコミュニケーション能力は必要です。
▼人材業界の様々な職種については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「人材業界」の職種はさまざま! 活躍の場の違いや担う役割を解説
人材業界の平均年収は参考程度に考えて自分に合った企業を探そう
人材業界の仕事は、一見すると同じことの繰り返しで単調に見えるかもしれません。しかし、実際はコミュニケーション能力を駆使して日々変化する情報を拾い上げ、頭をフル回転させながら困難な任務を遂行する高度な仕事です。仕事である以上、対価である平均年収が重要であることは当然ですが、それだけではないやりがいもあります。
また、年収が高い仕事は人気になりやすいものの、適職かどうかはわかりません。そこまで年収が低いわけでもなく、個々に見れば高収入も目指せる人材業界への転職にあたっては、平均年収は参考程度に考え、より自分に合った企業、職種を探しましょう。
キャリアアドバイザー求人ナビの転職支援サービスはキャリアアドバイザー職を初めとして、人材業界での転職を考えている方向けに特化し、応募書類作成のサポートや企業ごとの面接対策など徹底した伴走型の転職支援を提供。「書類も面接もこれまでより通過率がダントツに上がった」「年収交渉をしてもらい希望年収が叶えられた」などGoogle口コミでも高い評価をいただいているサービスです。
人材業界への転職を検討している方はぜひ以下ボタンから面談予約してください。
基礎知識のおすすめ記事
-
2025/01/26
「人材業界」の職種はさまざま! 活躍の場の違いや担う役割を解説
-
2024/09/28
キャリアアドバイザー(人材紹介)転職時の年収はどれくらい?固定報酬メイン/インセンティブメインの求人タイプ別に解説
-
2024/10/16
キャリアアドバイザー(人材紹介営業)職でホワイト企業に転職する方法
-
2024/10/16
キャリアアドバイザー(人材紹介)は未経験からでも転職できる?営業未経験でも応募可能な求人例あり