2024年12月5日公開
最終更新日:2024年12月16日
キャリアアドバイザー(人材紹介)のキャリアパスとは? 将来設計に役立つ選択肢を徹底解説
求職者の相談にのり、マッチングする企業を紹介するキャリアアドバイザーはやりがいや将来性がある人気の職種です。長くキャリアアドバイザーとして働くなら、自分自身の将来を見据えたキャリアパスについて考えておきたいものです。
この記事ではキャリアパスとは何なのか、人材紹介業界で働くキャリアアドバイザーに最適なキャリアパスなどを詳しく解説します。キャリアアドバイザーとして将来的にも活躍し続けたい、キャリア業界に転職したいという人はぜひ参考にしてください。
▼キャリアアドバイザーの基本知識や具体的な仕事内容についてはこちらの記事でも総合的に解説しています。
キャリアパスとはどういう意味?
キャリアパスとは「Career」と「Path」を組み合わせた言葉で「キャリアにおける道筋」という意味を持ちます。働いている企業内で将来の目標を定め、そこにたどりつくまでに必要となるスキルや経験、課題、基準などを明確にしたものです。
例えば「入社後3年間はA部署で経験を積み、さらにB部署で3年間の経験積んだ後に〇〇の資格をとればCのポストに昇進できる」といった具体的なプロセスを示します。キャリアパスは従業員個人が決めるものではなく、企業側が従業員に提示するものです。キャリアパスが明確になることで、従業員は自身の中長期的なキャリアがイメージしやすくなります。
キャリアプランやキャリアデザインとの違い
キャリアパスに似た言葉に「キャリアプラン」や「キャリアデザイン」などがあります。キャリアプランは、従業員自身が決定する将来のキャリアについての計画です。結婚や出産などのライフイベントや家族の状況を考慮して計画します。キャリアパスは同じ組織内でのキャリア形成を前提としていますが、キャリアプランは独立や転職などの選択肢もあります。
キャリアデザインはライフプランニングと仕事を含めた広義の意味での人生設計を表す言葉です。想定されるさまざまなライフイベントや人生に対する価値観などを含めて働き方を検討します。キャリアデザインという枠組みの中にキャリアパスがあるイメージです。
キャリアパスが注目される背景
キャリアパス制度が次々と導入されている背景には、社会状況の変化が大きく関わっています。以前までは企業では終身雇用や年功序列といった慣行がありましたが、現在ではこれらの制度は崩壊しているといえます。新卒で入社した企業に定年まで勤め続けていても、将来が不安定だったり昇給する可能性が低かったりといったデメリットを感じる人が多いのが現状です。
さらに現在、多くの企業で人口減少による人材不足の問題は深刻化しています。パーソル総合研究所の『労働市場の未来推計 2030』(※1)のデータによると、人材不足は年々加速していきます。2030年には企業側の需要が7,037万人に対して、供給できる労働人口が6,429万人で644万人の人材不足になるのです。
こうした背景から、求職者に対して魅力のある企業だと感じてもらい、離職率を抑えることは企業の課題といえます。キャリアパスで理想的なキャリアを示すことで、従業員は企業に将来性を見いだせ、仕事に対する意欲の向上につながるでしょう。
※1 出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」
キャリアアドバイザーや人材関連会社に転職する際に有利なキャリアとは
キャリアアドバイザーの仕事は求職者との面談や各種サポート、アドバイス、マッチングする企業の紹介、アフターフォローなど多方面にわたるため、さまざまなスキルや経験が糧になります。キャリアアドバイザー独自の資格はないので未経験でも始められますが、転職する際にあったほうがよいスキルもあります。希望する人材関連会社や転職エージェントに見事入社するために必要なスキルをご紹介します。
接客販売経験者
接客販売業では、お客様とのファーストコンタクトからニーズを汲み取って商品やサービスを販売するまで良好なコミュニケーションが必須です。キャリアアドバイザーにも同じことがいえます。求職者との相性や面倒見がよく、信頼してもらえると交渉が円滑にすすみます。面談、企業との面接の練習、トラブル時の対応などあらゆる場面で高いコミュニケーション能力は不可欠なスキルといえるでしょう。
求職者と面談を重ねて最適な企業を紹介するには、真のニーズを読み取るスキルも必要です。異業種であっても接客販売経験者であれば、同じスキルを備えている可能性が高いといえます。
営業経験者
業種にかかわらず、営業経験者は人材関連会社やキャリアアドバイザーとの親和性が高いといわれています。営業職は顧客やクライアント企業との交渉に慣れているため、求職者に紹介する企業とのやり取りもスムーズにすすめられ、よい結果を生むのが大きな強みです。スキルとは別に、人に好印象を与えたり相手が話しやすい雰囲気を作ったりといった「営業センス」に優れている人もキャリアアドバイザーに向いています。
さらに人材紹介会社や転職エージェントには、売上高や紹介数、紹介率、面談数など、一定のノルマがあるのが一般的です。数々のノルマをこなしてきた実績を持つ営業経験者はこれらの点でも転職の際にアピールができます。設定された目標を達成するために努力をする姿勢も評価されるでしょう。
人事関連の経験
前職で人事部門や採用部門に在籍していた経歴を持つ人も転職に有利です。人事・採用部門では入社希望者との面接や選考、人材配置など、人材関連会社の業務と類似している点が多くあります。特に面接業務に携わっていた担当者は、求職者との面談やコミュニケーションにすぐに慣れるでしょう。
労務や人材育成の知識は、求職者と企業のマッチングに役立ちます。多くの人を採用・育成してきた熟練者なら、求職者の経験や長所を活かせる最適な企業を紹介できるでしょう。人の能力を適正に評価できる能力はキャリアアドバイザーには不可欠といえます。
リサーチ力
キャリアアドバイザーは常に最新の情報を収集するリサーチ力が必要です。就職・転職市場の動向や幅広い業界の求人情報を把握しておくと、業務に活かせます。スピーディーかつ質と確度の高い情報を得るように意識しましょう。求職者にマッチングする企業が少ない場合でも、多くの情報を持っているキャリアアドバイザーのほうが提示できる選択肢が増えます。
キャリアアドバイザーのキャリアパスに有利なスキル
キャリア業界で成功するには、いかに現場で経験を積んでいくかが大切です。実績に加えて人事関連の資格を取得しておくと、キャリアパスが実現しやすくなるでしょう。自分が目指すべき目標もより現実的になってきます。ここではキャリアアドバイザーのキャリアパスに有利な資格の内容について解説します。
キャリアコンサルタント試験
2016年に国家資格として認められた「キャリアコンサルタント試験」は、キャリア業界で活躍したい人に最も適している資格です。キャリアコンサルティングを通して労働者のキャリア形成や能力開発に対する相談を行う役割を持っています。キャリアアドバイザーと似た業務ですが、教育機関や公的機関、セミナー講師など活躍のフィールドが広がり、社会的信用も増します。
3年以上の実務経験、または厚生労働省が指定する養成講座を一定時間以上受講すれば受験資格が得られます。合格率は50~60%と国家資格の中では標準レベルでチャレンジしやすい資格といえます。キャリアアドバイザーとして実務経験を積んだ後に資格取得するのがおすすめです。国家資格を取得した=業務に対する意欲があると見なされ、人事評価でも有利に働くでしょう。
キャリアコンサルティング技能士
国家資格「キャリアコンサルティング技能士」は先にご紹介したキャリアコンサルタントの上級資格で、2級と1級があります。2級は異業種からの転職者や難しい問題を抱えたクライエントへの支援が可能で、どのようなケースでも安定したコンサルティングができるレベルです。1級は専門領域を持ちつつも、他の領域についても知見があり、コンサルティングが行えるレベルで、キャリアコンサルタントの指導者としても活躍ができます。
どちらの級もキャリアコンサルタント資格保有者が受検対象です。2級は最低3年以上、1級は2級取得後に3年以上の実務経験が必要です。合格率は2級の学科が50~70%、実技が15~16%、1級の学科が35%前後、実技が6~8%と非常に難易度が高くなります。その分、知識レベル、スキルは確実に上がり、業務においてもより重要な案件を任される可能性があるでしょう。専門職に特化したり、リーダー職に昇進したりといったキャリアアップが期待できます。
CDA資格
「CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)」は、キャリアコンサルタント試験の認定機関として認められている日本キャリア開発協会が管轄する民間資格です。合格すればおもにキャリアカウンセラーとして活動ができ、キャリアに悩む相談者の支援を行います。活躍の場も広く、人材関連会社からハローワーク、教育機関、行政機関などがあります。
キャリアコンサルタントの資格を取り、かつ協会が指定するCDA養成カリキュラムを修了すれば認定資格が得られます。認定後は協会主催の勉強会や講習などが行われ、スキルのブラッシュアップが可能です。人と話すことや人の役に立つことが好きで、カウンセリング業務に重きをおいてキャリアを築きたい人におすすめの資格です。企業内の従業員に対するカウンセリングを担当することもあります。
メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルスの問題は労働者、企業ともに深刻です。心の不調により仕事を休業、または職場を退職する人の割合は増えてきています。「メンタルヘルス・マネジメント検定」は現代社会でニーズが高まっている資格のひとつです。大阪商工会議所がとり行っている公的な資格でⅠ種からⅢ種まであります。
種別によって難易度とケアを行う対象が異なる仕組みで、Ⅰ種は経営幹部・人事労務スタッフ、Ⅱ種は管理職、Ⅲ種は一般社員が対象です。実務に役立てるには、Ⅱ種とⅢ種が比較的現実的といえるでしょう。受験の条件は特になく誰でも挑戦しやすいのが特徴です。Ⅱ種とⅢ種の合格率は50~70%で推移しています。
メンタルヘルスについての知識が身につき、求職者の悩みや要望により深く寄り添えます。企業内の人事部門で従業員向けのメンタルケアに従事する場合もあるでしょう。
リスキリングアドバイザー
リスキリングとは経済産業省が推奨している新たな取り組みで「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」(※2)と定義されています。急速に進むDX化やAIの普及により、求められるスキルが変わりつつあり、時代に適応した持った人材育成を目的としています。
「リスキリングアドバイザー」はリスキリングを推し進める上で、従業員のデジタルスキル習得のサポートや助言を行う職種です。リスキリングアドバイザー養成講習を修了すると生成AIパスポート資格とともに資格が得られます。国が推進している施策だけあって将来性もあり、今後ますます需要が増えていくでしょう。
※2 出典:リクルートワークス研究所「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」
リスキリングキャリアコンサルタント
「リスキリングキャリアコンサルタント」はすでにキャリアコンサルタント資格のある人に付与される資格です。「リスキリングアドバイザー」と同様に指定の養成講座の受講が必須です。リスキリングの知識を求職者との相談や企業との交渉に活かせるメリットがあります。デジタル・リスキリングが盛んなIT系技術職や情報通信業、金融業などに強いコンサルタントとして活躍できます。
産業カウンセラー
「産業カウンセラー」は心理学の観点から、従業員がストレスを感じずに働ける職場作りを目指す資格です。メンタルヘルス支援、キャリア形成への支援、職場環境の改善などの役割を担っており、幅広い分野での活動が期待できます。
日本産業カウンセラー協会主催の講座受講、または大学・大学院で心理学などを専攻していれば、資格試験を受けられます。資格を保有していれば、キャリアアドバイザーの仕事に役立つだけでなく、企画部門や人事部門への異動も可能です。
【社内】におけるキャリアアドバイザーのキャリアパス
同じ会社で中長期にわたってキャリアを積みたい場合は、経験を積んだ上でキャリア系の資格を取得するとよいでしょう。また理想的なキャリアパスには、長い年数働くだけなく、キャリアアドバイザーとして成果を上げることも大切です。在籍している企業で設定されているKGIやKPIを意識して達成できるよう、努力を重ねることが必要です。
扱う企業の業種を増やしたり、専門職に特化したハイクラスの案件を扱えたりすれば、売上に貢献でき、インセンティブで年収アップも夢ではありません。
会社に評価されれば、キャリアアドバイザーのチームマネージャーなどの上級職につく可能性も高まります。その他、法人の営業を担うリクルーティングアドバイザーやキャリアアドバイザー部門のトップへの昇格、企画部門への異動などもキャリアパスの一例です。
【転職・独立】におけるキャリアアドバイザーのキャリアパス
本来、キャリアパスは企業内でのキャリアを示したものですが、転職や独立も視野に入れておくとよいでしょう。転職の場合、ハイクラス転職専門のエージェントや専門職に特化した人材紹介会社などへの転職などが考えられます。ハイクラス転職エージェントの場合は、一般的にインセンティブの額が上がり、年収アップが見込めるでしょう。
独立の場合は、クライエントの集客が大きな課題ですが、キャリアアドバイザーとして得た人脈をうまく活かしてみるのもひとつの方法です。その他、キャリア業界の交流会や勉強会、セミナーなどにこまめに出席して、人脈作りをするのも有効的です。いきなり独立するのが不安という人は副業としてコンサル業を始めてみるのもよいでしょう。
キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントとして大きな実績があれば、独立して自分に合った働き方ができます。さまざまな分野でキャリアコンサルティングを行ったり、キャリア関連のエキスパートとして講師や講演活動をしたりといった活動ができ、活躍の場が大幅に広がります。また会社勤めではないため、理想的なライフワークバランスが実現できるでしょう。
将来性のあるキャリアアドバイザーのキャリアパスは選択肢が多く魅力的!
キャリアアドバイザーは非常に将来性のある職種です。キャリアパス制度を導入している企業でキャリアを積めば、さまざまな選択肢が用意されており将来に対する不安もなくなるでしょう。
求人情報で「キャリアアドバイザー」と検索すると多くの情報が出てきますが、中には待遇面でキャリアパスについて記載している企業も少なくありません。自分自身が持つキャリアやスキルを活かしてキャリアパスを実現させましょう。
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