2025年12月3日公開
最終更新日:2025年12月3日
人材コーディネーターの離職率は高い?原因や転職成功のコツを解説
人材派遣会社などで求職者と人材を求める企業の橋渡し役を担う人材コーディネーターは人気の仕事です。意義のある仕事でやりがいもありますが「離職率が高い」とも言われています。実際のところどうなのでしょう?この記事では人材コーディネーターの離職率や離職にいたる原因、改善のための取り組み、転職のコツなどを解説します。人材業界に興味がある人、転職を考えている人はぜひ参考にしてください。
人材コーディネーターの離職率の実態
人材コーディネーターは主に派遣会社に在籍し、求職者に人材を求める企業を紹介する役割をもつ仕事です。社会に貢献でき、やりがいが感じられる職種ですが、離職率が高いと言われています。
厚生労働省発表の「令和6年雇用動向調査結果の概要」(※1)によると、2024年度の全体の離職率の平均は14.2%です。「人材業界」と明確な産業別の数値はありませんが、「生活関連サービス業、娯楽業」は19.0%、「サービス業(他に分類されないもの)」は20.3%と高い水準です。これらのサービス業は、人材業界に在籍する人材コーディネーターやキャリアアドバイザーなども該当すると考えられます。
※1 出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf
人材コーディネーターの離職率が高い理由

人材業界、または人材コーディネーターすべてがすぐ辞めるというわけではありません。しかし、人の入れ替わりが多い会社の場合「人がすぐ辞める」=「離職率が高い」となります。魅力的な仕事でもあるのにも関わらず、辞職してしまう人が多い理由を解説します。
業務が多岐にわたる
人材コーディネーターの仕事は、単に求職者に派遣先企業を紹介するだけではありません。求職者、企業の双方との面談や打ち合わせ、フォロー業務などがあります。具体的な仕事内容は以下のとおりです。
・求職者の登録
・求職者との面談・ヒアリング
・選考
・企業とのマッチング
・企業と求職者の顔合わせ帯同
・就業条件の確認、調整
・契約業務
・派遣スタッフへの定期的な面談
・派遣スタッフの勤怠管理
・派遣期間更新手続き
・企業からのフィードバック
派遣社員の場合は、企業とのマッチングが成功したあとも、スタッフは自社に所属しているため、サポートや勤怠確認が必要です。このように人材コーディネーターの業務は広範にわたります。
年度代わりや決算期など、求人が増える繁忙期には複数人を担当して、非常に多くの仕事を抱えることになるでしょう。そのため、ワークライフバランスを重視する人には業務の多さに「過酷」と感じる場合もあり、離職につながる可能性があります。
ストレスが大きい
求職者と派遣先企業のつなぎ役ともいえる人材コーディネーターは、双方の要望に応えるため、時には板挟み状態に陥ることがあります。就業の条件面や契約更新などあらゆるシーンで調整が必要なため、避けられない事態といえます。特に双方の言い分が食い違い、折り合いがつかない時、大きなストレスになるでしょう。
人材コーディネーターにとっては、求職者と企業はどちらもクライアントといえるため、余計に困難な状況に直面しやすいのです。また、責任感が強い人ほど「どちらの要望に応えたい」という思いが強くなり、結果的に消耗してしまうケースが多いです。
営業ノルマが厳しい
会社によって異なりますが、人材コーディネーターにノルマを課すところが多いのも離職率の高さの原因です。求職者と企業のマッチング数や派遣先で就業を続けているスタッフの数、派遣先となる企業の開拓など、さまざまな達成目標があります。
ノルマを達成できないと「営業成績が悪い」とみなされ、部署内の居心地が悪くなったり上司から叱責されたりといった会社もあります。本来は仕事への意欲を向上させるためのノルマが従業員のストレスになってしまいます。また、ノルマの達成・未達成に関わらず、存在自体にプレッシャーを感じてしまう人もいるでしょう。プレッシャーやストレスに耐えられず、離職の道を選ぶ人もいます。
キャリアパスの不透明さ
自分が人材コーディネーターとして働き続ける中で、キャリアアップや昇進・昇格などのキャリアパスが不透明な場合、現職に対する意欲や将来性を見いだせず退職してしまう可能性があります。目標達成の数値のみで評価される仕組みでは、求職者に寄り添う姿勢やヒューマンスキルは評価されにくく、意欲が感じられなくなります。
懸命に職務に取り組んでいる人ほど成長意欲が高く、キャリアパスがはっきりしないと将来の展望が見えずに離職にいたるケースが多いです。
人材コーディネーターの離職率改善のための取り組み

企業にとって従業員の離職率が高いのは極めて重要な問題です。せっかく採用した有能な人材が育たないばかりか「辞める人が多い」という事実は企業イメージを著しく損ねます。会社運営をする上で支障をきたすリスクもあります。そのため、多くの企業では離職率低下の取り組みが実施されています。
働き方改革を推進
人材コーディネーターの業務負担を減らし、定着率を高めるには会社全体の働き方の仕組みの見直しが必要です。従業員のライフステージや価値基準に合わせた柔軟な制度が多くの企業で導入されています。
・フレックスタイム制度
・短時間勤務制度
・リモートワーク
こういった制度を導入することで離職率低下につながった事例も多くあります。また、慢性的に業務負担が大きくなっている場合は、業務の見直しが不可欠です。担っている業務をすべて洗い出し、不要な業務や担当外の業務がないかを検討します。社内で補えない場合は、外部リソースを利用するケースもあります。
退職者へのヒアリング
離職にいたる原因が何なのかを解明することも重要です。人材コーディネーターが働く現場で、経営者層や管理職が気づかないネガティブな要因が隠れていることも考えられます。そのためには、退職者のヒアリングが効果的です。
本音を引き出せないケースもありますが、退職者に寄り添ってヒアリングを行うことで真の退職原因が見えてきます。ヒアリングを行うタイミングも大切です。退職の意志を伝えてきた時点では「慰留目的」ととられ、本心を聞き出せない可能性があるためです。
退職が既に決まった後の従業員であれば、忌憚なく退職理由が聞ける可能性が高まります。ヒアリングによって企業が抱える問題点を明らかにすれば、有効な対策方法を講じやすくなります。
社員への定期的な面談実施
上司や同僚とのコミュニケーション不足が原因で離職の兆候に気づかず、何も対策を講じられないまま退職するということも少なくありません。すべての社員に対して、直属の上司や部署のリーダーが定期的に面談を行い、話す場を設けることが大切です。
会社や業務に対する不満や悩み、問題点などを相談しやすくするための対策も必要です。あくまでも上司は「聞き役」に徹して、話しやすい雰囲気を作ります。否定的な言葉や威圧的な態度は、相手が萎縮してしまい本音を聞き出せません。
また、職場に心理的安全性が保たれていない場合、いくら面接を重ねても効果は得にくいです。上司やリーダーに話しやすい雰囲気の醸成が欠かせません。
メンタルヘルスのサポート
ストレスやプレッシャーを感じることの多い人材コーディネーターには、メンタルヘルスケアが不可欠です。従業員の中には自分がストレスやプレッシャーを感じていることを自覚しないまま、意欲的に働き続けた結果、身体的、精神的な不調が出て初めてストレスの存在に気づく人もいます。
こうした事態を防ぐためにはメンタルヘルスケアを軽視せず、サポートする体制の構築が必要です。「労働安全衛生法」第六十六条の十(※2)では「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない」と定めています。
実際には「ストレスチェック」の実施が行われています。ストレスの原因や自覚症状、周囲のサポートに関する質問票で、記入された質問票は会社内部ではなく医師などが回収します。医師は得られた情報をもとに内容を精査して、ストレスの度合いに応じて面談などを実施する仕組みです。ストレスに対して迅速に対策ができるため、有効な方法といえるでしょう。
※2 出典:労働安全衛生法 第六十六条の十
https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
キャリアパスを明確にする
人材の離職を防ぐ策として、キャリアパスを明確にするのも有効です。従業員の将来の希望もヒアリングした上で、個人の適性や能力に応じたキャリアパスを示します。「どんな経験を積めば理想のポジションに就けるのか」「どんなスキルを習得するのがキャリアアップにつながるのか」など、具体的に分かりやすく提示することが重要です。
従業員の意欲やエンゲージメントが高まり「この会社でキャリアを積もう」という思いにつながります。
人材コーディネーターに向いている人の特徴

求職者や企業の採用担当者、社内の関係部署の担当者など、人材コーディネーターはあらゆる人と関わりを持ち、マッチングや派遣後のフォローなどを行う職種です。人材業界が未経験でも十分に仕事をこなせます。しかし、一定の適性があり、就職・転職の際には気をつけたいポイントです。
人と話すのが好きな人
既にご紹介したように、人材コーディネーターは毎日さまざまな人と接します。求職者やクライアントと頻繁にコミュニケーションをとり、マッチングや調整などを行います。そのため、人と話すのが好きな人や得意な人が向いています。
お客さまと接することが多い販売職や営業職などの異業種からの転職者も多いのも、対人スキルを習得しているためといえます。人材業界が初めてでも、研修制度もあり仕事をこなしていくうちにノウハウは蓄積されていきます。
ストレス耐性がありタフネス
多くの人と関わり、ビジネスをしていく以上、どんな会社でもストレスを感じることはあります。しかし、ストレスに強く、タフネスな人は人材コーディネーターに向いています。求職者や企業から出される解決が困難な課題にも、粘り強く向き合い解決策を導き出せるでしょう。
成果が出なかった時も引きずらず、気持ちを切り替えられる柔軟な思考も大切です。失敗を自己成長ができる機会ととらえられる姿勢も大切です。
問題解決能力が高い
人材採用の現場では、問題解決能力があることは非常に有利です。求職者と企業の要望に相違があったり、就業後にトラブルが生じたりといったさまざまなシーンで問題の解決を人材コーディネーターに委ねられることがあります。
責任は重大でプレッシャーになりますが、冷静に問題点を分析して双方にとって納得のできる策を提案できるのが理想的です。論理的思考や実行力も必要といえるでしょう。
人材コーディネーターへの転職を成功させるコツ

人材業界に魅力を感じているなら、人材コーディネーターやキャリアアドバイザーへの転職がおすすめです。社会人の場合は、未経験でもこれまで培ってきたビジネススキルを活かせます。ここでは人材コーディネーターへの転職を成功させるポイントをご紹介します。
人材業界への理解
就職・転職するにあたって、業界への理解は大きな強みになります。人材業界には主に人材コーディネーターが活躍する「人材派遣」の他、「人材紹介」「人材コンサルティング」「求人広告」などがあります。ビジネスの仕組みや人材コーディネーターが担当する業務について事前に把握しておくとよいでしょう。担う役割を理解していれば、企業とのミスマッチを最小限にとどめられます。
人材コーディネーターに必要な資格を取得
人材コーディネーターは、一般的に未経験でも可能で必要な資格はありません。しかし、長く人材コーディネーターを続け、キャリアアップをはかるには人材関連の資格の取得も検討しましょう。
人材コーディネーターに役立つ資格には「キャリアコンサルタント」や「キャリアコンサルティング技能士」などがあります。キャリアコンサルタントは国家資格で求職者のキャリア支援やキャリアの相談全般を受ける仕事です。キャリアコンサルティング技能士はより専門的な知識が求められる国家検定で、一定の実務経験が必要です。こうした資格を取得していると就職・転職に有利で、人材分野での活躍の場が広がります。
自分に合った転職エージェント選び
転職には自分の能力やスキル、適性も大切ですが利用する転職エージェントも重要です。人材業界への転職を検討しているなら、「特化型」と言われる特定の業界に特化したエージェントがおすすめです。
・人材業界の求人数が多い
・人材業界の内情に詳しい
・求人数が多いため、自分の希望にそった転職先が見つかる
このようなメリットがあります。一般的にWEB上で公開されている求人情報だけでは分からない社内の雰囲気や業務の範囲なども詳しく教えてもらえます。その他、担当者との相性はよいか、サポート体制が整っているか、など多角的に判断して選びましょう。細かな点でも希望を伝えることが転職の成功につながります。
人材コーディネーターの将来性

長くキャリアを積むにあたって、人材コーディネーターの将来性や今後の動向にも目を向けたいものです。現在、働き方の多様化、人材不足などの影響で、人材業界への需要は増しており、成長が見込まれる業種といえるでしょう。
業界のトレンドと変化
人材業界で重要な役割を担う人材コーディネーターは、業界のトレンドに応じて柔軟に対応できるよう、政府発表の統計や業界レポートなどに目を通して知見を深めることが大切です。働き方の多様化により、主に派遣社員、派遣スタッフをサポートする人材コーディネーターの需要は増しています。派遣業界の動向にも着目しましょう。
キャリアアップの可能性
人材コーディネーターは実務経験を積むほどスキルが身につく職種です。さらに自己研鑽に努め専門性を高めれば、キャリアアップが期待できます。リーダー職やマネージャー職への昇進や部署全体を統括する役職に就ける可能性もあります。
人材コーディネーターの離職率改善に取り組んでいる企業は多い
人材コーディネーターは、求職者のキャリア形成を支援する非常にやりがいのある仕事です。離職率の高さが気になるかもしれませんが、多くの企業では改善のための対策がなされています。どうしても気になる場合は、自分で求人に応募するよりも、転職エージェントに登録して「働きやすさ」を重視して転職先を探すとよいでしょう。自分らしい働き方ができる企業がきっと見つかります。
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この記事の監修者
長沢 ひなた
外資系アパレルで販売・チーム運営を経験後、美容クリニックのカウンセラーに転身。60名中3名のみのトップカウンセラーとして表彰され、マネージャーとして大規模なチームマネジメントも経験する。
「人生単位での変化」を支援したいとの想いからキャリアアドバイザー職へ転身し、入社半年での異例の昇格、1年でリーダーに就任。現在は、キャリアアドバイザー職への転職を専門に、業界構造を熟知した的確な支援を行っている。(▶︎詳しく見る)
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