2025年9月3日公開
最終更新日:2025年9月5日
人材紹介会社の送客サービスとは?メリット・デメリット、活用ポイントまで解説
「求人を出しても、まったく応募が来ない」
「応募はあっても、要件を満たす人がほとんどいない」
採用を担当していると、こうした状況に頭を悩ませることは少なくありません。特に人材獲得競争が激化する昨今、求人を見てもらうこと自体が難しくなっていると感じている方も多いのではないでしょうか。
こうした採用難の時代において、近年注目されているのが送客サービスの活用です。
これは人材紹介会社などのパートナーが、貴社の募集要件に合った候補者を能動的に連れてきてくれる仕組み。求人広告では届かない層にもアプローチできるため、「母集団が集まらない」「ミスマッチが多い」といった課題の打開策として導入が進んでいます。
本記事では、送客サービスの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、サービスを選ぶ際のチェックポイントまで、採用実務の視点から詳しく解説します。
人材紹介会社の送客サービスとは
送客サービスとは、人材紹介会社などの外部パートナーが、企業の採用ニーズに合う求職者を選考や説明会へ誘導する事業です。求人広告とは異なり、企業側が受け身になるのではなく、紹介会社が自ら動いてターゲット層に働きかける特徴があります。
「応募はあるがターゲット層とずれている」「求人ページを出しても反応がない」といった課題を抱える企業にとって、このサービスは極めて実効性の高い打ち手といえます。すでにスクリーニングされた人材が能動的に接点を持つため、自社内での集客やスクリーニング工数を大幅に削減できるためです。
特に人材紹介市場では、求職者が自ら積極的に情報を探すよりも、信頼できるコンサルタントや運営会社から提案される求人のほうが受け入れられやすい傾向があります。
この行動特性を踏まえると、送客サービスは求職者の行動を動かす枠組みであり、求人広告のように待つ方式とは本質的に異なります。
送客といっても手段はさまざまで、スカウトメール、LINE連携、オウンドメディアでの誘導、イベント招致、電話連絡など多岐にわたります。最終的に求職者が「話を聞いてみたい」と思える状態を整え、面談や説明会といった接点につなげることが、このサービスの本質といえるでしょう。
人材紹介会社の送客サービスの仕組み
送客サービスは、単なるWeb広告出稿やスカウト送信ではなく、緻密に設計された集客から選考接続までの流れを備えています。提供企業は、複数の流入チャネルやデータベースを活用し、ターゲット人材を自動的に分類・マッチングする枠組みを持っています。
まず基盤となるのは、オウンドメディア・広告・求人ポータル・スカウト媒体といった多様な流入チャネルです。そこからユーザーを惹きつけるために、問い合わせフォームや会員登録、LINE追加、エントリーフォーム、資料請求など複数のCTAが用意されます。これにより見込み求職者との初回接点を築きます。
次に、CV(コンバージョン)した求職者の情報は、自動スクリーニングや機械学習によって属性分類されます。年齢・職歴・職種・希望条件、キャリアプランなどの指標に基づき、企業の募集要件との親和性を定量的に評価。さらにスコアリングや優先度付けを経て、企業側に「面談・相談候補者」として送客されるプロセスが完成します。
このように、送客サービスは単なるリード提供ではなく、データドリブンかつスピーディなマッチングによって、企業と求職者をより高い確度で結びつけるよう設計されています。
人材紹介会社の送客サービスの特徴
ここでは、人材紹介会社の送客サービスの特徴を見ていきましょう。
基本的に成果報酬
送客サービスの多くは成果報酬型であり、企業に実際に送客があった場合のみ費用が発生する仕組みです。
固定広告とは異なり、初期コストやリスクが少ない点が大きな強みといえます。特に中小規模の人材紹介会社にとっては、無駄な広告費をかけずに一定の成果を見込める手法として注目を集めています。
成果報酬の対象は、CV数や面談完了数など明確な成果指標が定められており、費用対効果を把握しやすい点もメリットです。
選考フェーズ・目的に合わせてプラン設計できる
送客サービスの優れた点は、選考フェーズごとに課金タイミングを調整できる柔軟性にあります。たとえば、「面談完了で課金」「一次選考通過で課金」など、自社のKPIに合わせた成果地点の設計が可能です。
この自由度の高さにより、企業は数集めではなく質重視の運用がしやすくなり、無駄なコストやミスマッチの抑制にもつながります。
人材紹介会社の送客サービスを使うメリット
ここでは、人材紹介会社の送客サービスを利用するメリットを見ていきましょう。
今すぐ面談できる求職者を獲得できる
送客サービスの最大のメリットは、即戦力となる求職者と短期間で接点を持てる点です。通常、自社で求職者を集めるにはSEOやSNS、スカウトといった施策が必要で、成果が出るまで数週間から数か月を要します。
しかし、この仕組みを活用すれば、すでに興味関心を持つ人材や初期スクリーニング済みの求職者が日単位で供給されるため、即時の面談設定に有効な手段となります。
自社の工数を削減できる
送客サービスは、採用担当者が日々行う「母集団形成のための種まき作業」を外部化できる方法です。スカウト送信、架電、メール対応といった手間のかかる作業から解放され、選考や面談といった本質的な業務に集中できます。
この強みは、少人数体制の企業や複数職種を並行して採用する場合に特に効果を発揮します。
1リード当たりの獲得コストを正確に測定できる
本サービスは、1リード単位で費用が発生する明確なモデルを採用しているケースが多く、CPA(顧客獲得単価)の可視化がしやすい点が特徴です。
SEOやウェビナーなど複数チャネルを組み合わせたマーケティングではCPAが不明瞭になりがちですが、送客サービスなら「1面談=◯円」と数値で把握でき、経営判断においても有効な指標となります。
人材紹介会社の送客サービスを使うデメリット
送客サービスを使う2つのデメリットを見ていきます。
質より量が重視される可能性
送客サービスの一部では、送客数にコミットするCV保証型のプランが採用されており、量を優先しがちです。その結果、転職意欲の低い人材や、情報収集目的でエントリーした求職者が含まれる懸念があります。
これにより、面談設定の工数や稼働が増える一方で、実際の採用成果につながりにくくなるリスクがあります。
集客後の導線設計が必須
送客された求職者がいても、自動的に面談や選考に進むわけではありません。初動対応が遅れたり、連絡手段が不十分だったりすると、せっかくのリードが離脱してしまいます。
そのため、LINE返信フローやメールテンプレート、自動返信設定など、集客後の受け皿をあらかじめ整備しておくことが必要です。
人材紹介会社におすすめの集客施策
送客サービスを効果的に活用するには、単独施策に依存せず、自社の目的やフェーズに応じて複数の手段を組み合わせることが重要です。
たとえば、今すぐ面談数を増やしたい場合は即効性の高い媒体施策や広告が有効ですが、将来的な指名検索や再訪を狙うには、SEOやSNSといった蓄積型の取り組みが欠かせません。
また、各施策には得意領域と苦手領域が明確に分かれているため、それぞれの特性を理解したうえで「どこに注力するか」「どのタイミングで活用するか」を判断する必要があります。
以下に、人材紹介会社におすすめの主要施策を特性ごとに整理しました。
自社の採用体制やリードの質・量の目標に応じて、これらの手段をどう組み合わせるかが送客サービス活用の成否を左右します。特に中小規模の紹介会社では、即効型と蓄積型のバランスが重要な戦略ポイントとなります。
自社に適した送客サービスの選び方
ここでは、自社に合った送客サービスの選定ポイントを紹介します。
対象職種とエリアのマッチ度を確認
送客元が持つデータベースやネットワークには、職種や地域による偏りがあります。
たとえば、建設・物流・看護といった専門職や地方エリアに特化した求人は、対応できる業者が限られる場合もあります。
送客実績や地域別のリード保有数を事前に確認し、自社とのマッチ度を把握することが不可欠です。
成果をどう定義するか明確にする
送客サービスで最もトラブルが起きやすいのは成果の認識ズレです。
送客元が面談設定を成果とみなす一方、紹介会社は実際に面談が実施されたかどうかにこだわることもあります。
たとえば、ドタキャンでも費用が発生する契約では無駄な出費がかさむため、契約前に成果の定義を明文化しておく必要があります。
シミュレーションでコストを比較する
送客サービスの料金体系は一律ではなく、完全成果報酬型、最低保証付き、月額固定+成功報酬など多様です。
表面上の単価だけでなく、成果率やキャンセル率を踏まえたコストシミュレーションを行いましょう。
複数の業者を比較し、KPIごとのコスト感や実現性を精査することが重要です。
人材紹介会社の送客サービス効果を最大化するポイント
送客サービスを利用するだけでは期待した成果は見込めません。ここでは、成果を最大化するポイントを解説します。
迅速なレスポンスができる仕組みを構築
送客リードの価値は鮮度にあります。特に、転職顕在層は複数の企業と並行してやりとりしていることが多く、連絡が1日遅れるだけで他社に流れてしまうケースも少なくありません。
最低でも24時間以内に連絡することを徹底し、LINE・メール・SMS・電話など複数チャネルを組み合わせた即時レスポンス体制を整備しましょう。
リターゲティング機能で離脱者に再アプローチ
応募フォームまで進んで離脱したユーザーに対しては、SNS広告を活用したリターゲティングで再アプローチが可能です。興味関心が高いユーザーに再接触することで、一定数を復帰させられます。
リードナーチャリングを実施する
すぐに転職しないと判断された求職者でも、将来的に市場へ戻ってくる可能性は高いです。そのため、MA(マーケティングオートメーション)やLINEシナリオ、メール配信などを活用し、今は転職しないリードを定期的に育成しておくことが重要です。
採用難を打開するなら、送客サービスを戦略的に取り入れよう
求職者の行動が多様化し、採用市場が過熱する現代において、送客サービスは「待ちの採用」から「攻めの採用」へと転換するための有効な手段です。自社で行うと膨大な時間と労力がかかる母集団形成やリード育成を、データと仕組みによって効率化できる点が最大の強みといえます。
もっとも、使い方次第では非効率に陥ったり、期待する成果が出ない場合もあります。だからこそ、サービス選定や導線の整備、KPIの設定を戦略的に行わなければいけません。
採用に課題を抱える企業こそ、送客サービスを単なる施策ではなく採用戦略の一部として活用するようにしましょう。
この記事の監修者
長沢 ひなた
外資系アパレルで販売・チーム運営を経験後、美容クリニックのカウンセラーに転身。60名中3名のみのトップカウンセラーとして表彰され、マネージャーとして大規模なチームマネジメントも経験する。
「人生単位での変化」を支援したいとの想いからキャリアアドバイザー職へ転身し、入社半年での異例の昇格、1年でリーダーに就任。現在は、キャリアアドバイザー職への転職を専門に、業界構造を熟知した的確な支援を行っている。(▶︎詳しく見る)
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