2025年7月11日公開
最終更新日:2025年7月11日
投稿者:キャリアアドバイザーAgent求人ナビ編集部

人材紹介で海外人材をマッチングできる? 具体的な手続きや外国人を紹介するメリットを解説

人材紹介サービスは、国内企業と日本人のマッチングが基本です。一方で、海外人材とのマッチングは可能なのでしょうか。この記事では、人材紹介における海外人材のマッチングについて詳しく解説します。自社ビジネスで海外人材の紹介も視野に入れている方は、ぜひご一読ください。

 

人材紹介サービスで海外人材のマッチングは可能

サムズアップする手元

結論から言うと、人材紹介サービスで海外人材のマッチングは行えます。ただし、手続きや必要な許認可には一定のルールがあるため、順を追って説明します。

 

【前提】人材紹介は「有料職業紹介事業」の許可が必要

前提として、国内・国外の人材にかかわらず、人材紹介を行う際は「有料職業紹介事業」としての許可が必要です。有料職業紹介事業とは、職業安定法第30条にもとづいて厚生労働大臣の許可を受け、企業と求職者を仲介して報酬を得る事業です。さらに、有料職業紹介事業を立ち上げるためには、資産要件やオフィスの要件などの各種規定を満たす必要があります。これから人材紹介会社を立ち上げる場合、まずは有料職業紹介事業の許可申請から取り組みましょう。

 

日本国内に居住中の外国人の紹介は追加手続きが不要

日本国内にすでに住んでいる外国人が対象の場合、有料職業紹介事業の許可を取得していれば追加の手続きは必要ありません。ただし、日本国内での就労が認められている在留資格(ビザ)を持つ外国人に限られます。したがって、就労の在留資格を持つ日本在住の外国人であれば、国内在住の日本人の人材紹介と同じように取り扱えます。在留資格の範囲内で紹介先企業への就業が可能であるかを確認したうえで、マッチングを進めましょう。一方で、海外在住の求職者に職業紹介する場合、次章で解説する「国外にわたる職業紹介」を行います。

 

特定技能外国人の人材紹介は登録支援機関の申請が必要

国内に居住している外国人であっても、「特定技能外国人」に該当する人材の紹介を行う場合、登録支援機関としての許可が求められます。特定技能とは、2019年に創設された在留資格を意味します。人手不足が深刻な16分野において、一定の技能を有する外国人を受け入れるための制度です。さらに、特定技能における登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用する企業「受入れ機関」に代わってサポートする組織です。人材紹介サービスで特定技能外国人を扱うためには、出入国在留管理庁へ登録支援機関として申請して許可をもらう必要があります。なお、紹介する特定技能外国人が海外に在住している場合、次章の「国外にわたる職業紹介」の手続きも発生します。

 

海外在住者の人材紹介は「国外にわたる職業紹介」の申請が必要

電卓を表示するスマホと書類やファイル、数本のペン

海外人材の紹介といっても、具体的なパターンは多岐にわたります。そのうち、海外に在住している人材を日本国内の求人企業に紹介する場合、「国外にわたる職業紹介」の申請が必須です。ここでは、国外にわたる職業紹介の概要や手続きについて解説します。

 

国外にわたる職業紹介とは

海外に居住している求職者を日本国内の企業へ紹介する場合、国外にわたる職業紹介の手続きが必要です。海外に住む外国人だけでなく、海外に住む日本人を紹介する場合も同様に手続きしなくてはいけません。また、海外の求職者の集客方法として、「日本の自社Webサイトで求職者を募集」「海外支社で求職者を募集」などの違いがあります。しかし、最終的に「自社が海外居住者を日本国内の企業へ紹介する」のであれば、集客経路の違いにかかわらず国外にわたる職業紹介の手続きが必須となります。

 

すべての国や地域を「取扱職種範囲等届出書」に記載する

国外にわたる職業紹介の手続きでは、該当地域を記載した「取扱職種範囲等届出書」を提出しましょう。まず、人材紹介サービスを始める際は、有料職業紹介事業の免許を申請します。申請書には、「取扱職種の範囲等」として扱う職種を記載する欄があります。取り扱う職種の対象が国内人材のみの場合、「国内」と記載する決まりです。人材紹介サービスの開業後に海外在住人材の取り扱いも追加する場合、「取扱職種範囲等届出書」に該当する在住国を記載して提出する必要があります。すべての国の記載が求められるため、海外在住者の対象国が増えた際は再度届け出ます。

 

「国外にわたる職業紹介」の届出の必要書類

国外にわたる職業紹介の手続きでは、以下の書類を提出します。

 

■必須の提出書類

・取扱職種範囲等届出書

・海外人材の国の関連法令とその和訳

・取次機関に関する申告書

  ※取次機関を利用する場合に必要

・当該国での事業者の活動を認める証明書類とその日本語訳

  ※取次機関を利用しない場合に必要

 

■取次機関を利用する場合に必要な提出書類

・当該国での取次機関の活動を認める証明書類とその日本語

・取次機関と事業者の業務分担を記載した契約書等

 

上記の取次機関とは、海外で提携している職業紹介事業者や自社の海外支社が該当します。書類作成には海外の法令への理解が求められることから、基本的には行政書士や弁護士に依頼すると良いでしょう。

 

ビザの申請をサポートする

海外在住の人材を日本に呼び寄せる場合、ビザ申請のサポートが必要になるケースがあります。海外人材の雇用先である求人企業が行う場合もありますが、ビザ申請のサポートに対応している人材紹介サービスも存在します。人材紹介サービス業で他社と差別化したいのであれば、ビザ申請支援への対応は1つの強みになるでしょう。

 

人材紹介サービスで海外人材の重要性が高まっている理由

傘を刺して横断歩道を渡る群衆

近年、人材紹介サービスにおける海外人材の重要性は高まっています。背景として、日本の生産年齢人口の減少や外国人を採用する企業の増加が挙げられます。それぞれの具体的な理由を見ていきましょう。

 

日本における生産年齢人口の減少

日本における15歳〜64歳の生産年齢人口は、1995年以来減少し続けています。総務省の統計によると、1995年に約8,716万人いた生産年齢人口は、2020年には約7,509万人まで減少しました(※1)。さらに同統計では、2040年には5,978万人まで減ると推計されています。人材紹介サービスは、求職者がいなければ成り立たないビジネスです。減少を続ける国内人材だけに依存していると、将来的に事業が立ち行かなくなる可能性があります。そこで、海外人材の職業紹介も取り扱うことで、将来的にも事業を発展させられるチャンスが広がります。

 

外国人を採用する企業の増加

外国人を採用する企業が増えている点も、人材紹介サービスにおける海外人材の重要性を高めています。厚生労働省が2025年に発表したデータによると、2024年10月時点の外国人労働者数は前年度比12.4%増の約230万人でした(※2)。同統計の集計元である外国人雇用状況の届出は2007年に義務化されており、義務化以降で過去最多の人数です。人手不足を解消するためだけでなく、政府や自治体からの支援も外国人の雇用が増えている理由の1つです。たとえば、厚生労働省は「人材確保等支援助成金」として外国人労働者の雇用と職場定着をサポートする企業へ助成金を支給しています。海外人材の需要が高まっているため、人材紹介サービスも海外人材への対応が求められます。

 

※1 参照:総務省「令和4年版情報通信白書 - 生産年齢人口の減少」

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd121110.html

※2 参照:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50256.html

 

人材紹介で海外人材を扱うメリット

つながるパズルピースの前に並ぶ人々のシルエット

人材紹介サービスで海外人材を積極的に取り扱うと、以下3つのメリットを得られます。

 

幅広い求職者の確保

日本人だけでなく外国人も人材紹介の対象になるため、求職者の幅が広がります。日本の人口減少が続くなかで日本人だけに限定していると、将来的に求職者の母集団が減っていくでしょう。海外人材も対象にすることで、多様なスキルや経験を持つ人材を確保できます。また、すでに就労の在留資格を持って日本に住んでいる外国人は、一定の日本語能力や専門スキルを備えている場合が多いです。即戦力として活躍しやすいため、優秀な人材を多くの企業へ紹介できます。

 

求人企業の拡大

さまざまな国の海外人材を扱えば、アプローチする求人企業の拡大が可能です。前述通り、外国人を採用する企業は増加しています。たとえば、介護や外食産業、製造業といった人手不足が深刻な業界では、海外からの人材受け入れを積極的に行っています。さらに、グローバルに事業を展開したい企業や外資系企業も、外国人材の採用に前向きでしょう。複数国の人材を紹介できる体制を整えることで、幅広い業種や規模の企業から求人情報を獲得できます。

 

自社サービスの独自性強化

さらに、海外人材の紹介は、他社との差別化を図るためのアピールポイントとなります。外国人材の紹介に特化したサービスを持つ会社はまだ限られており、自社が早期に体制を整えれば「海外人材に強い紹介会社」というサービスイメージを確立できます。特定の国や分野に専門性を持たせたり、ビザ取得や生活支援をワンストップで対応できる体制を用意したりすることで独自性をアピールできるでしょう。結果として多くのクライアント企業の信頼を獲得できれば、安定的に案件を受注できる強い基盤を築けます。

 

人材紹介で海外人材を扱う際に配慮すべきポイント

「TRANSLATE」と書かれたキーボードの青いボタン

人材紹介サービスで海外人材を扱う際には、語学力やビジネス習慣などの配慮が必要です。配慮すべきポイントをあらかじめ理解してフォローすることで、求職者と求人企業の双方から信頼を得られます。具体的には、次の3つのポイントを把握しましょう。

 

求職者の語学力に応じたフォロー

ひと口に海外人材といっても、日本語の語学力には個人によって大きな幅があります。母国で日本語を専門的に学んだ人もいれば、来日前にほとんど日本語に触れた経験がない人もいるでしょう。語学力が不十分な場合、面接や入社前研修などの場面でコミュニケーションが円滑に進まずないおそれがあります。求職者によっては、内定辞退や早期離職につながるかもしれません。人材紹介サービス側は求職者の日本語レベルを正確に把握し、必要に応じて通訳や日本語の学習を支援しましょう。そのためには、人材紹介会社のスタッフにも相応の語学力が求められます。

 

ビジネス文化の違いへの対応

海外と日本では、ビジネス文化が大きく異なる場合があります。たとえば、日本のビジネスでは時間厳守が重視されますが、海外では日本ほど時間感覚が厳格ではない国も存在します。こうした文化の違いを知らないままに海外人材を入社させてしまうと、企業との間でトラブルや誤解が生じかねません。海外人材のモチベーション低下の要因となり、早期退職のリスクが高まります。人材紹介会社は、海外人材に対し日本のビジネス文化について充分な時間をかけて研修する必要があります。

 

在留資格のサポートが必要

海外人材を紹介する際は、在留資格のサポートが重要です。すでに日本に住んでいる求職者であっても、転職にともなって在留資格の変更や更新が必要なケースが多くあります。まずは、求職者の在留カードを確認して、紹介企業の業務内容が在留資格で認められている範囲かをチェックしましょう。業務範囲を超える場合、「在留資格変更許可申請」の手続きが必要です。また、これから日本に来る場合、在留資格を新規取得するための手続きをサポートしましょう。人材紹介会社が必要書類の案内やスケジュール管理を行うことで、海外人材のスムーズな採用につながります。

 

住居確保のサポートも行う

外国人がこれから日本に住む場合、就業先の確保だけでなく生活拠点の整備も大きな課題です。とりわけ、日本で賃貸契約を結ぶ際、言語の問題や保証人の不在などの理由によって外国人の入居を断られるケースがあります。住居確保の壁を解消するためには、社宅や寮がある求人企業の優先的な紹介や、人材紹介会社による賃貸契約のフォローが不可欠です。生活面を手厚くフォローして求職者の不安を減らすことで、海外人材からの応募を増やせるでしょう。

 

人材紹介で海外人材の内定率を上げるコツ

青空に浮かぶ2つの気球

人材紹介サービスで海外人材の内定率を高める対策として、日本人を対象にする場合と大きく異なる部分はありません。海外人材の紹介における特性を基本の対策に加えることで、内定率の向上が見込めます。海外人材の内定率を上げるために意識したい5つのコツを紹介します。

 

海外人材採用のメリットを伝える

最終的な内定率を高めるためには、前提として豊富な求人案件の獲得が欠かせません。そのためには、高品質な営業リストやトークスクリプトの作成が必要です。採用ニーズや求める職種、採用予算、採用における課題などの情報から、優先度の高い企業をリスト化しましょう。そのうえで、企業ごとの業種や規模、要望に応じて海外人材の採用メリットを訴求するトークスクリプトを作成します。人材不足の解消や助成金のほか、多言語対応によるグローバル展開の推進、新しい視点やノウハウの導入の可能性もメリットとして伝えられます。企業に海外人材の採用に関心を持ってもらえれば、求人獲得の成功率が高まります。

 

海外人材支援の専門性を高める

内定率を高めるためには、求職者への専門的な支援が大切です。海外人材はビジネス文化や言語、在留資格といった多くの側面で日本人以上に手厚いフォローを必要とします。語学的なサポートに加えて、在留資格の取得や変更の手続き、文化の違いに対する研修、住居の確保などのフォローが求められます。こうした専門的な支援を提供することで、求職者は前向きに採用選考を進められるでしょう。さらに、海外人材支援によってサービスの専門性を高めれば、競合他社との差別化になって多くの求職者へアプローチできます。

 

ミスマッチを防ぐ

求人企業と求職者のミスマッチを防止すると、内定辞退のリスクを最小限に抑えられます。例として、海外人材の中には「日本でスキルを高めたい」と考える人もいれば、「安定して長く働きたい」と考える人もいるでしょう。一方の企業側も即戦力を求める場合や、教育を前提に採用する場合があります。双方の意向を充分にヒアリングせず選考を進めてしまうと、内定辞退に加えて入社後のギャップによって早期退職も招いてしまうでしょう。求職者と求人企業の要望をきちんと確認したうえでマッチングすることで、内定の辞退率を下げられます。

 

面接後のフォローを徹底する

面接終了後のフォローは、海外人材の内定率を上げるために重要なプロセスです。面接の実施後、求職者に対しては面接への評価をフィードバックして、良かった点や改善点を伝えましょう。求職者の面接対策の練度を高めることで、今後の選考通過率を上げられます。また、求人企業には、求職者が面接で伝えきれなかったポイントや質問を改めて伝えます。評価の参考になる情報をきちんと補足できれば、求職者の内定確度を向上できるでしょう。

 

柔軟な選考や働き方ができる求人を獲得する

日本人向けの人材紹介と同様に、海外人材に対しても柔軟な求人の紹介が大切です。具体的には、オンライン面接やリモートワークといった柔軟な選考・働き方が可能な求人があると良いでしょう。海外在住者の場合、来日前にすべての面接を対面で実施するのは負担が大きく、場合によっては選考を辞退する要因になりえます。オンライン面接に加えて、求職者の希望に合わせた働き方ができる求人を獲得することで、選考参加率と内定承諾率の向上が期待できます。

 

海外人材への対応で人材紹介サービスを強化

人材紹介サービスで海外人材を扱う際は、国内在住であれば基本的に追加の手続きは不要です。一方、海外在住者の場合、国外にわたる職業紹介の手続きが必要になります。また、居住地の違いにかかわらず、特定技能外国人の人材紹介は登録支援機関としての許可が必須です。こうした諸条件をクリアしたうえで海外人材を取り扱えば、自社の人材紹介サービス事業を大きく発展させられるでしょう。

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