2025年1月25日公開
最終更新日:2025年1月25日
フリーランス特化の人材紹介って何? 人材業界のトレンドをおさえておこう
人材紹介会社や人材紹介サービスと聞くと、求人企業と求職者をマッチングし、最終的に求職者が企業へ入社する業務の様子を想像する方も多いでしょう。しかし昨今では、企業が短期的なプロジェクトなどにあわせてその場面の即戦力となる人材を求めるケースなどで、フリーランスに特化した人材紹介サービスを活用することも多いようです。
この記事では、フリーランス特化型の人材紹介とはそもそもどういう仕組みか、どのような使われ方をするのかを解説します。人材業界の総合的な知識、トレンド知識を深めたい方もぜひ参考にしてください。
フリーランス特化(業務委託特化)の人材紹介サービスとは?
フリーランス特化の人材紹介サービスとは、文字どおりフリーランスの人材をニーズのある企業に向けて紹介する人材支援サービスのことです。別の呼び方をすると業務委託特化の人材紹介サービスとなります。
そもそも広義のフリーランスとは、フリーランス協会によれば「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」(※1)のことです。また、政府のフリーランスガイドラインでは、フリーランスとは「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」(※2)とされています。
つまり、フリーランス特化の人材紹介サービスで行われているのは、組織に属さず独立しており、実店舗も従業員も持たずに自身のスキルとノウハウ、経験を活かすことで企業のニーズに応える人材の紹介です。ただし、昨今は副業でフリーランスの働き方を選ぶ人材も多く、本業においては必ずしも独立しているわけではないといえます。また、実店舗を構えているフリーランスもいないわけではありません。
求人企業にとってフリーランス特化の人材紹介サービスは、自身の実力だけで結果を出せる優秀な人材、ハイスキルな人材を労せず確保できるサービスだといえるでしょう。フリーランスにとっては、自分らしい生き方を大切にしつつ、スキルを最大限に発揮して活躍できるマッチングの実現が可能なサービスです。
※1 出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書2018」P.5
https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2018/01/20180423_FreelanceSurvey2018_all.pdf
※2 出典:内閣官房ほか「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」P.5
https://www.mhlw.go.jp/content/001318001.pdf
一般的な人材紹介とフリーランス特化型人材紹介の違い
ここでは一般的な人材紹介とフリーランス特化型人材紹介の違いについて、主なものを解説します。
一般的な人材紹介は、求人企業の従業員として求められる条件にマッチする人材を紹介するサービスです。紹介対象となる求職者を求人企業が長期間にわたり雇用する前提があります。求職者の側も安定して勤務できる転職先を探しているケースが一般的です。したがって、在職中の場合は、入社が決まった時点で現職を退職します。
一方、フリーランス特化型の人材紹介では、正社員などの従業員となる人材を紹介するわけではありません。求められているスキルや経験を持った人材を、期間を問わず特定の業務のために業務委託を前提として紹介する点が特徴です。
フリーランスを紹介する人材紹介会社が存在する理由
一般の人材紹介会社に加えて、フリーランスを紹介する人材紹介会社が存在する理由はいくつかあります。
教育コストをかけずに、求人企業が即戦力を補充できる
まずは求人企業にとって教育コストがかからない点が、フリーランスを紹介する人材紹介会社の需要につながっているといえるでしょう。求人企業では日々様々な業務上の必要性が生じています。人材需要もそのひとつです。
雇用契約で採用するとなれば、自社の従業員としての基礎教育や、長期的な展望に立った教育研修を行う必要が生じます。教育のコストは採用した人材本人だけでなく、教育の企画立案、計画通りの実施とそれぞれの担当者についても必要です。採用する人材のスキルによってはさらに教育コストが増える可能性があります。
しかし、フリーランス特化型の人材紹介会社の存在があれば、教育コストをかけることなく即戦力となる人材を補充できます。
求人企業が雇用コスト・雇用リスクを回避できる
人材需要をフリーランスでカバーすると、雇用コストと雇用リスクを回避できます。
従業員を雇用する場合、かかるコストは教育に関するものだけではありません。採用のための活動コストがかかります。たとえば、求人メディアの掲載料であったり、応募者への対応要員の手配であったりです。また、従業員として雇用した人材は、単に仕事が減ったとか、期待したほどの成果が上がらなかったといった理由では簡単に解雇できません。
フリーランス特化型の人材紹介会社を利用することにより、社会保険料の半額負担やその他の福利厚生にかかるコストなどを回避できます。
フリーランス側は自分に合った活躍の場を都度、見つけられる
上記2つの理由は求人企業側のメリットですが、フリーランス側のメリットも理由になっています。長期的にひとつの企業に縛られるのではなく、自分らしい働き方、自由な働き方が可能な点です。また、フリーランス特化型の人材紹介会社を利用することで、複数の働きたい業務に出会える可能性が上がり、経験やスキル・実績を積み重ねるチャンスを増やせます。
フリーランス特化型の人材紹介が増えている背景
続いてフリーランス特化型の人材紹介が増えている背景について解説します。
働き方改革を機に「自由な働き方」が広まる
ワークライフバランスを重視する考え方が広まり、働き方改革が進んでいることがフリーランス特化型の人材紹介が増えている背景としてあります。そのなかで、従来のみんな一緒に出勤して夜まで働くといった会社員のモデルから遠い、自由な働き方が一般化しているところです。
とはいえ、企業や団体など組織に所属していると、思ったほどの自由度はないのが一般的でしょう。より自由で自分らしい働き方を求める人や独立して自分の力を試したい、実力で稼ぎたい人を中心に、フリーランスの働き方が増えており、フリーランス特化型の人材紹介を支えています。
コロナ禍を経てフリーランスや副業の人口が急増
総務省の就業構造基本調査によれば、本業がフリーランスである人口が2022年の時点で209万人(※3)となっています。また、ランサーズ株式会社が2021年11月に出したプレスリリースによれば、広義のフリーランス人口は1,577万です。同社の2020年1月の調査では1,062万人(※4)だったことから、新型コロナウイルス感染症拡大以降、副業を含むフリーランス人口の急増がうかがえます。
調査によって人数に大きな差があるのは、フリーランスとしての働き方、定義でカウントが異なるためだといえるでしょう。総務省のデータで用いられているフリーランスの定義は、前述のフリーランスガイドラインによるものです。
企業側のフリーランス活用も活発に
時代の変化を反映して、企業側のフリーランス活用も活発になっています。ITの進化、DX推進社会において企業を取り巻く環境が変化するスピードは上がっており、新しい人材確保の必要性に迫られるケースも少なくないといえるでしょう。しかし、労働力人口の減少もあって、従来型の人員補強では間に合わないケースが少なくないようです。フリーランスを活用することで、いま必要なスキルを持った人員を手当てできる可能性が高くなっていることが、フリーランス特化型の人材紹介ビジネスが増える背景になっています。
※3 出典:総務省統計局「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方~令和4年就業構造基本調査の結果から~」P.3
https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/197.pdf
※4 出典:ランサーズ株式会社「『新・フリーランス実態調査2021-2022年版』発表」
https://www.lancers.co.jp/news/pr/21013/
企業がフリーランスを探す場合の選択肢
企業がフリーランスを探す場合、その主な手段としては以下に示す選択肢があります。
求人広告や求人サイトで募集する
求人広告や求人サイトでの募集はオーソドックスな人材探しの手段といえます。まずは自社のニーズ、募集条件などの必要事項をメディアに掲載するだけです。興味を持ったフリーランスが応募してくれば選考を行う流れのため、手間はあまりかかりません。コスト面でも掲載料または成功報酬を支払えばよく、低く抑えることが可能です。
しかし、知名度が低いなどの原因で反響がなければ何も進まず、応募があっても自社のニーズにマッチしている保証がありません。また、よい人材だとしても自社を優先してくれる関係性もないため、期待したほどの効果を得られないことがあります。
社内の人脈からフリーランスを探す(リファラル採用)
経営層や従業員など社内の人脈を活用したリファラル採用も、フリーランスの人材探しで用いられる手段のひとつです。関係者と個人的なつながりがあることから、よい人材を確保しやすいメリットがあります。また、外部に支払う費用がなく、全体のコストも小さなもので済みます。
一方で、紹介元が限られるため対象範囲内に求める人材がいないケースも少なくないでしょう。また、社内に周知して動いてもらう必要がありますが、報酬が満足できるものでない
ケースや、結果によっては人間関係が悪化する点を考慮して紹介が進まないおそれがあります。
SNSやフリーランス登録サイトなどでスカウトする
昨今の流行ともいえるのが、SNSの活用です。フリーランスが登録するサイトも含めて新しいプラットフォームでのスカウトが注目されています。とくにSNSでのスカウトは、それ自体に費用が発生しません。自分のスキルをSNSで公表しているフリーランスも少なくないため、マッチ度の高い人材が見つかる可能性に期待が持てます。
とはいえ、自社のニーズにマッチしたフリーランスが多数見つかるとは限らず、探し出す手間とやり取りする手間を考えれば手放しでおすすめできる手段とはいえないかもしれません。
フリーランス特化型の人材紹介会社を利用する
フリーランス特化型の人材紹介会社の利用は、フリーランス探しの王道といえるでしょう。なにしろ、そのためのサービスを専門で提供しているため、もっとも効率よくフリーランスを確保できる可能性があります。何かとお任せで自社の手間を省くことが可能です。
一方で、コスト面では他の手段と比較にならないかもしれません。人材紹介会社に支払う費用はマッチング成功時の紹介手数料が一般的で、不成功なら費用はかかりません。しかし、成功しなければ時間の無駄です。また、報酬は1人の単価に人数をかけた金額となるため、複数人の確保が必要なケースでは、コストがかかり過ぎる点が大きなデメリットになります。
「業務委託」とはそもそもどういった契約・考え方?
フリーランスとの契約は雇用契約ではなく、一般に業務委託契約です。ここでは人材紹介と切っても切り離せない、業務委託という考え方について基本を解説します。
雇用関係の無い働き方・仕事の依頼の仕方
求人企業とフリーランスとの間で行われる業務委託には、会社と従業員の間にある雇用関係がありません。雇用関係がないため、フリーランスは社員に課せられる義務にとらわれることなく働くことが可能です。求人企業はあくまでも外部の協力者であるフリーランスに対し、業務の一部について仕事を依頼し、報酬を支払います。仕事を依頼したい企業が特定の仕事についてフリーランスに条件を提示し、フリーランスがOKすることが前提です。ケースによってはフリーランスからオファーを出すことがあります。
業務委託の種類
業務委託契約は民法上の請負契約(632条)、委任契約(643条)、準委任契約(656条)に分類可能な契約形態です。
・請負契約は、ある仕事の完成(成果物・目的物)と引き換えに報酬を支払う契約をいいます。仕事の完成に至る経過はフリーランス任せです。請負契約の代表例には、警備業務や建設工事、記事のライティングなどがあります。請負契約では仕事が完成しない限り報酬は発生しませんが、契約解除や注文者に責任がない原因で仕事の完成が不可能となり、その状況でも注文者の利益となる場合には部分的な請求が可能です。
・委任契約は、ある法律行為の実行を依頼し、相手方が承諾して行う契約です。仕事の結果ではなく、仕事にあたることが契約内容となっています。法律行為とは、意思表示により何らかの法律上の効果を生み出す行為です。委任契約の代表例としては、弁護士の代理人業務をはじめとする士業の仕事がわかりやすいでしょう。
・準委任契約は委任契約と同様の形態ですが、仕事の内容が法律行為ではないものを指します。したがって、法律行為に該当しない仕事の委任についての契約は、準委任契約です。
派遣契約との違い
業務委託契約と派遣契約は、どちらも求人企業と雇用契約を結ばない点が同じです。しかし、派遣契約で求人企業に派遣される人材が、派遣会社に雇用されている点で、業務委託契約とは大きく異なります。派遣社員が就業する際には、派遣先である求人企業の指揮命令にしたがう点も大きな違いです。
業務委託を受託するフリーランスのメリットとデメリット
フリーランスにとって、業務委託を受託する大きなメリットは、仕事のやり方を自分で決められる点です。また、自分がやりたい分野の仕事だけを選び、嫌な仕事は受託せずに断れます。その結果、専門性を高めフリーランスとしての価値を向上させることが可能です。
デメリットとしては、自身が事業主であることから企業に守ってもらえない点、会社員のような福利厚生などがない点が挙げられます。また、多くが短期の仕事であり、収入が不安定になりがちな点、考え方次第ではあるものの、何をするにも自分に責任がある点もデメリットです。
業務委託する企業側のメリットとデメリット
業務委託する企業側のメリットには、必要に応じてハイスキルな人材に仕事を任せることが可能な点、従業員に行うようなサポートが不要な点、業務の一部を外注化することで、その分の雇用にかかるリスクやコストを削減できる点などがあります。デメリットは、指揮命令ができない点、他人任せの業務となるため社内の経験値にならないだけでなく、情報漏洩のリスクがある点などです。
フリーランス特化型人材紹介サービスの具体例
フリーランス特化型人材紹介サービスの具体例として、代表的なサービスの運営会社、事業内容や特徴などを紹介します。
クラウドワークステック
ランサーズエージェント
Anycrewエージェント
Workship
レバテックフリーランス
クイックエージェント
フリーランス特化型の人材紹介は、人材業界のトレンドのひとつ
フリーランス特化型の人材紹介サービスは、働き方改革やIT化、DXの推進といった社会の変革とともに広がりを見せています。自由で専門スキルを武器とする働き方が増えており、人材業界のトレンドのひとつとなっているフリーランス特化型の人材紹介には、今後ますます注目が集まるでしょう。キャリアアドバイザーなど、内側のスタッフとしてかかわる未来もよいかもしれません。
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