2025年1月9日公開
最終更新日:2025年1月26日
投稿者:キャリアアドバイザー求人ナビ編集部

人材紹介事業のビジネスモデルとは?事業として気になる利益率なども合わせて徹底解説

人材紹介事業のビジネスモデルでは、効果的な人材の採用や補充を目論む企業と、自分らしい働き方を望む求職者をマッチングさせて収益につなげます。言葉にすると簡単に思えるかもしれませんが、マッチングを成功させるためには様々な仕組みや仕掛け、準備などが必要です。

 

この記事では、人材紹介事業のビジネスモデルについて、詳しく解説します。

 

人材紹介事業の基本的なビジネスモデル

指でグッドサインを出すヘッドセットの女性

まず前提となる知識として人材紹介事業、転職エージェントの基本的なビジネスモデルについて解説します。

 

求人企業と求職者のマッチングを行う

人材紹介事業では顧客である求人企業が必要とする人材の条件をヒアリングし、自社(場合によっては他社も含む)に登録している求職者から、適材と呼べるマッチ度の高い人材を紹介し、雇用関係の成立に向けてあっせんします。求人企業との間で締結されるのが人材紹介契約や人材コンサルティング契約です。

 

企業の採用活動全般をサポート

人材紹介事業を行う企業は一般に人材紹介会社などと呼ばれています。法的には職業紹介事業者であり、料金を受け取る場合は有料職業紹介事業者です。人材紹介会社は職業紹介だけを行うケースは少なく、企業の採用活動に関する悩みの解決や効果的な採用活動ができるようにアドバイスを行います。また、採用計画の立案や求人票の作成を代行するなど、人事・採用に関する全般的なサポートを行うケースが一般的です。

 

求職者の転職活動を二人三脚でサポート

人材紹介会社は求人企業に向き合う顔とは別の顔を持っています。転職を成功させたいと願う求職者に向き合う顔です。求職者に向き合う際は、一般に転職エージェントとよばれています。求職者ひとり一人の転職活動に初期の段階から寄り添い、ヒアリング力やコーチング力も活用しながらアドバイスし、応募書類の作成や面接対策、面接同行など二人三脚のサポート実施が主な業務内容です。

 

内定した後は入社条件の調整を行ったり、入社後も定着できるように一定期間サポートを続けます。

 

マッチング成功時に企業から受け取る報酬が主な収入源

人材紹介では紹介した人材を求人企業が採用した場合に限り、求人企業から報酬を受け取る成功報酬制の契約を結ぶケースがほとんどです。また、求職者の転職活動をサポートする業務については、原則として無料で行なわれます。したがって、どれだけ多くの業務量をこなしたとしても、マッチングがうまくいかなければ売上も利益も発生しないのが人材紹介のビジネスモデルです。

 

受け取る手数料については法令(職業安定法32条の2)による縛りがあります。

・上限制手数料

支払われた賃金額の10.8%(免税事業者は10.3%)に相当する額を上限とする手数料の決め方

ただし、期間の定めのない雇用契約で6ヶ月を超えて雇用された場合は、6ヶ月間に支払われた賃金の10.8%(免税事業者は10.3%)相当額と、6ヶ月間に支払われた賃金から臨時の賃金等を除いた額の14.5%(免税事業者は13.8%)のどちらか大きいほうを上限とする

 

・届出制手数料

手数料表を厚生労働大臣に届け出ることにより、手数料表に記載の額を受け取れる手数料の決め方

ただし、規定により著しく不当な手数料であると認められる場合は変更命令の発出となる

 

現実には届出制手数料を採用する人材紹介会社が多く、その相場は概ね想定年収の30%程度とされています。

 

人材紹介事業の分類

人型の頭上にAとBそれぞれの文字

人材紹介事業は対象とする範囲やサービスタイプによって複数に分類されます。

 

対象範囲による分類

対象とする範囲による分類は2種類です。

・幅広い業種や職種をカバーする総合型

総合型は様々な求人ニーズ、求職ニーズに応えられるよう、幅広い業種や職種をカバーする人材紹介事業です。対象範囲の広さから求人数も多く、マンパワーも含めてある程度の規模が必要になることから、大手の人材紹介会社は総合型が多いといえます。

 

・業種や職種を絞った特化型

業種や職種を絞って専門特化することにより他社との差別化を図り、より高いマッチングの提供を目指しているのが特化型です。特定の分野に強みを持っている業者が少なくなく、

ピンポイントの人材紹介事業も可能なため、中小規模の人材紹介会社に多いタイプだといえます。

 

サービスのタイプによる分類

サービスのタイプによる分類は3種類あります。

・登録求職者を紹介する一般型

自社に登録している求職者のなかから適材を探して求人企業に紹介するサービスタイプを一般型または登録型と呼んでいます。

 

・ヘッドハンティング形式のサーチ型

サーチ型はヘッドハンティング型とも呼ばれるサービスタイプで、自社の登録者はもちろんのこと、他社の登録者やその他の媒体も含めてピッタリの人材を探し出します。選ぶ相手は必ずしも求職者とは限らない点で、サーチ型は難易度が高いサービスです。また、求人企業がターゲットを指定するケースもあります。

 

・リストラ対象者の再就職を支援するアウトプレースメント型

アウトプレースメント型は単なる人材紹介ではなく、リストラ対象者が再就職先を探すための支援サービスです。事業の改廃などにより余剰人員を整理する必要が生じた企業からの依頼に応える形で、再就職を目指す人が登録することになります。求職者の性質に鑑み、資格取得のサポートなど、体制を充実させている人材紹介会社も少なくないようです。

 

人材紹介事業にかかるコスト

ルーペで拡大されたCOSTの文字

人材紹介事業を営むにあたって必要な一般的コストについて解説します。コスト意識を持ったスタッフとして活躍するために、また独立開業を考える際の基礎知識として参考にしてください。

 

初期費用

人材紹介事業を開始する際のコストには、主として以下の初期費用があります。

・固定資産

人材紹介事業に必要な固定資産とは、オフィスに設置するデスクや面談室用のパーテーション、パソコン、通信機器その他の物品で一年以上にわたって保有・使用する物です。パソコンのソフトウェアも含まれ、品物にもよりますが、それなりの調達コストがかかります。オフィスが自社ビルの場合は土地・建物も固定資産です。固定資産は減価償却する必要があります。

 

・什器備品

什器備品には固定資産に含まれる物と含まれない物があります。一年以上にわたり保有・使用するオフィス家具や道具類などで取得価格が10万円以上であれば固定資産です。10万円未満なら消耗品とすることで減価償却の必要はありません。低額であっても数を揃えると多くのコストがかかってしまいます。

 

・許可申請に必要な登録免許税などの費用

営利事業として人材紹介会社を営むためには、有料職業紹介事業者として厚生労働大臣の許可を得る必要があります。厚生労働省が公表する手続き費用としては、申請手数料が最低5万円、登録免許税が9万円必要です。事業所を複数設ける場合は、1つにつき申請手数料が1万8,000円加算されます。また、許可申請にあたっては職業紹介責任者講習会の受講が必須です。費用は一般に1万円前後かかります。

 

・許可申請に必要な基準を満たす財産

有料職業紹介事業者となるには、財産について定められた基準を満たす必要があります。まず、基準資産額として事業所数×500万円が必要です。現預金が150万円で、事業所が複数の場合は増えた事業所1つにつき60万円加算されます。

 

ちなみに、新設時の許可年数は3年となっており、3年後の更新時にも事業所数×1万8,000円の申請手数料が必要です。更新時の財産基準は基準資産額のみで、事業所数×350万円となっています。更新の有効期限は5年です。

 

・法人化する際の手続費用

個人事業ではなく法人化して有料職業紹介事業を営む場合は、登記などの費用がかかります。株式会社の設立にかかる登録免許税は最低15万円、合同会社などは最低6万円です。定款認証などの費用も含めると、株式会社の設立には20万円前後の手続き費用がかかります。

 

固定費

固定費は毎月決まってかかる費用など定期的に発生するコストです。代表的な固定費を以下に示します。

・事務所の賃借料や光熱費等

オフィスを借りる場合は賃借料が必要です。電気代や水道代などオフィスを稼働させるために必要なコストも毎月発生します。

 

・通信費その他のサブスクリプション費用

固定電話や携帯電話、インターネット回線などの通信費が必要です。ITツールのクラウドサービスなどを利用する場合、サブスクリプション費用がかかります。

 

・スタッフの人件費

スタッフを雇用する場合は人件費がかかります。ただし、時間外勤務手当などのように決まって発生するわけではない費用は固定費に含まれません。

 

変動費

変動費は売上や生産量などに応じて変動する固定していないコストです。主な変動費の例を以下に示します。

・広告宣伝費

売上などに関係なく発生する広告宣伝費は通常、固定費として計上されます。しかし、一時的な施策で広告を打つ場合などは変動費です。主としてキャンペーンなどのイベント時の広告宣伝費が該当します。

 

・Webサイトなどオウンドメディアの運営費

Webサイト、SNSなどのオウンドメディアの運営を外注する場合のコストです。

 

・派遣社員の費用

繁忙期に一時的に人員を増やす必要がある場合、雇用するよりも外注費として派遣社員を受け入れたほうが効率的です。

 

高利益率が可能なビジネスモデル

右肩上がりのグラフとガッツポーズ

低コストで参入でき、報酬が大きい人材紹介は高い利益率を目指せるビジネスモデルです。

 

低コストでの運営が可能

人材紹介事業では企業にあっせんする人材の転職を、転職エージェントの立場でサポートします。サポートの一環として転職を成功に導くアドバイスを行いますが、企業人としての教育をする必要はありません。教育には大きなコストがかかりやすいため、同じ人材業界に位置しており、人材教育も行う派遣事業と比べて低コストでの運営が可能です。

 

派遣事業との比較では、そもそも求職者を自社で雇用するわけではないため、派遣社員のような人件費もかかりません。さらに、初期費用としての財産基準についても派遣事業より低くなっています。

 

人件費についても、少数精鋭で業務を遂行すればコストを抑えることが可能です。求職者を集めるための広告費が大きくなる可能性がありますが、効果の高い広告を見極めてコストを抑えることができます。

 

報酬の相場は想定年収の30~35%

人材紹介事業の売上は一般的に成功報酬によるものです。紹介した人材が採用に至らなければ報酬が発生しないため、一件当たりの報酬単価は大きなものとなっています。報酬の相場は想定年収の30%程度であり、たとえば年収600万円なら一件だけでも180万円です。1人が担当する求職者が多数マッチングすれば一気に報酬が積み上がります。

 

一方、かかっている原価は上記のとおり派遣事業などと比較して少なく、高利益率の実現が可能です。このような状況があるため、1人あたりの担当求職者数が多ければ多いほど効率よく稼げる計算になりそうですが、担当する数が多過ぎると業務の質が低下する恐れがあります。

 

人材紹介事業が選ばれる場面と人材紹介事業のメリット・デメリット

ノートの見開き左右にmeritとdemeritの文字

人材紹介事業が選ばれる場面と人材紹介事業のメリット・デメリットを業者側と求人側それぞれで解説します。

 

人材紹介事業が選ばれる場面

人材紹介事業が選ばれる主な場面は3つあります。求める人材のスキルなどが限定されているケースでは、特化型やサーチ型の活用が効果的です。

 

・計画的な採用を行うとき

人材採用を計画的に行いたいとき、自社に採用に関するノウハウが少なければ人材紹介事業を選ぶケースが多くなります。とくに求める人材が多岐にわたるケースなどでは、それぞれのケースに強みを持った人材紹介会社への依頼が効率的です。

 

・欠員を補充するとき

余剰人員がいる場合は別ですが、どこかで欠員が生じたときは補充しなければ業務に支障をきたしかねません。欠員の補充は時間的余裕が少ないため、人材マッチングの専門家である人材紹介会社に依頼することで、早期の解決が可能です。

 

・急な人材需要が生じたとき

欠員が生じたわけではなくても、人手が足りない、新規案件に対応できるスキルを持った人材がいないといった理由で急に人材を確保しなければならないケースがあります。人材紹介会社の利用により、効率のよい人材探しが可能です。

 

人材紹介事業のメリット

人材紹介事業の主なメリットは以下のとおりです。

(求人側のメリット)

・成功報酬のためマッチング成立時以外のコストを抑えられる

・専門家に依頼することでベストマッチングを期待できる

・非公開での人材採用が可能で、採用の手間も軽減できる

 

(業者側のメリット)

・比較的低コストで参入できる

・Web対応なら広いオフィスが不要

・小規模でも特化型のビジネスモデルなら参入しやすい

・成功報酬が大きいビジネスモデルで様々なビジョンを描ける

 

人材紹介事業のデメリット

人材紹介事業の主なデメリットを以下に示します。

(求人側のデメリット)

・大人数の採用は成功報酬が高額になりがちで向いていない

・業者選び次第で紹介を受けられる人材が限られてしまう

・採用まである程度の時間がかかるため、いますぐ採用したいニーズには合わない

 

(業者側のデメリット)

・マッチングするまで時間がかかり売上にならない

・初期には登録者の確保が難しく求人企業のニーズを拾い切れない

・優秀なスタッフがいなければ業績を見込めない

・リピートを見込みにくい

 

他の業種との主な違い

指を立てて示唆する女性ビジネスパーソン

同じ人材業界に所属する他の業種との主な違いを解説します。

 

人材派遣との違い

・サービス内容:人材派遣は雇用契約の相手をあっせんするのではなく、就業を希望する労働者を派遣する点が人材紹介との大きな違い

・雇用形態:人材紹介は求人企業が雇用主となる人材を紹介するのに対し、人材派遣では人材派遣会社が雇用している労働者を派遣する違いがある

・勤務期間:登録型派遣には最長で3年の上限期間があるが、求人企業が直接雇用する人材紹介には制限がなく長期の活躍が見込める

 

求人広告との違い

・求人広告がマッチングにつながるか否かは求職者の反応次第であり、求職者自身からの応募待ちとなってしまう点が、マッチングに向けて様々な業務を行う人材紹介との大きな違い

・求人広告は応募者の情報が乏しくマッチ度もわからない

求人広告に反応して応募してきた時点での求職者の情報は一般に断片的で、詳細なヒアリングが行われている人材紹介会社よりも乏しいだけでなく、自社のニーズとのマッチ度もわからない

 

人材コンサルティングとの違い

・人材コンサルティングはマッチングが主目的というよりも、人事部門の人材に関するすべての業務についてのコンサルを業務内容としている点が違う

 

人材紹介事業の特徴的な職種

手の平で案内する女性ビジネスパーソン

人材紹介事業の特徴的な職種であるキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーについて解説します。

 

キャリアアドバイザー

キャリアアドバイザーは人材紹介会社が転職エージェントとして機能するために欠かせない営業職です。求職者の転職活動を徹底サポートすることで、求人企業とのマッチング精度を高めます。転職という人生の節目にかかわることから、仕事を通じて誰かの役に立ちたいと考える人に向いている職種だといえるでしょう。優秀なキャリアアドバイザーの存在が業績を左右するともいわれており、転職先としても有望です。

 

リクルーティングアドバイザー

リクルーティングアドバイザーは人材紹介会社における営業職であり、求人企業の開拓やリピート案件の獲得、担当者としての採用活動支援が主な業務です。人材紹介会社によってはリクルーティングアドバイザーを置かずにキャリアアドバイザーが兼任するケースもあります。

 

▼キャリアアドバイザーの基本知識や具体的な仕事内容についてはこちらの記事でも総合的に解説しています。

キャリアアドバイザー(人材紹介)ってどんな仕事内容?業務の詳細を徹底解説!

▼人材業界の様々な職種については、こちらの記事でも解説しています。

「人材業界」の職種はさまざま! 活躍の場の違いや担う役割を解説

 

人材紹介のビジネスモデルは転職にも独立にも有利

人材紹介のビジネスモデルは、求人企業のニーズをつかみ、求職者の転職をサポートし、両者のマッチングを成功させて報酬を得るものです。求職者と向き合う専門的な営業職であるキャリアアドバイザーの需要は今後も少なくないと考えられるため、転職に有利だといえます。また、小規模でも参入しやすい業態であることから、独立にも有利です。

 

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