2025年9月1日公開
最終更新日:2025年9月1日
人材紹介業とはどんな業種? 業種ごとの特徴や将来性を徹底解説!
求職者に就職・転職先を紹介する人材紹介業は、年々増加傾向です。人材不足が問題となっているため、ニーズも高まっています。人材業界には、一般的な人材紹介の他、人材派遣業や求人広告業などさまざまな業種があります。この記事では人材紹介業の種類や業種ごとの特徴や仕組み、業界の市場の成長性、最新トレンドなどを解説します。人材紹介業界が未経験の人でも業界の「現在」がわかるのでぜひ参考にしてください。
人材紹介業とは?
人材紹介業とは、就職・転職を希望する求職者の求めに応じて、働く企業を紹介する職種です。厚生労働省では次のように定義しています。
「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすること」(※1)
ビジネスとして求職者と企業の間を取り持つ人材紹介会社や転職エージェントなどは「有料職業紹介事業」に分類されます。人材紹介業の事業者からの紹介で求職者が企業に入社した場合、企業から求職者の年収の〇%などの一定の手数料が支払われるのが一般的です。
求職者のスキルや希望する職種や条件を考慮した上で、企業のニーズに合う人材とマッチングさせるのは簡単にできることではありません。いかに求職者と企業、双方のニーズにそえるかが重要です。双方に対して丁寧にヒアリングを行い、真のニーズを見極める能力が必要です。
※1 出典:厚生労働省「職業紹介事業制度の概要」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai01.html
人材紹介業の主な種類と特徴
人材紹介業には、提供するサービスや紹介の方法、対象者によって、複数のビジネスモデルが存在します。それぞれの業務の流れや特徴を解説します。
一般登録型
「一般登録型」は、日本で最も広く利用されている人材紹介サービスです。「人材紹介サービス」はこの「一般登録型」を示すことが多いです。事業者は、Webサイトや広告、SNSなどで求職者を募り、データベースに登録します。登録者の中から企業が提示している条件に合致する人材を選定して、企業に推薦するのが一般的です。
もちろん、企業からの要望だけではなく、求職者の希望条件や職歴、キャリアプランなどをヒアリングした上で求職者側も納得できる企業を選ぶことも重要です。
「一般登録型」は求職者が能動的に登録するため「すぐに就職・転職がしたい」という積極的な人材を確保するのに役立ちます。一方で多くの登録者がいても、企業の出す条件によってはマッチする人材が見つからないケースもあります。そのため、できるだけ多くの人材を集めなければなりません。
また、新卒者でも将来の転職やキャリアアップのために登録しているケースが多い傾向にあります。
サーチ・スカウト型
「サーチ・スカウト型」は、自社に登録している求職者の中から企業へ紹介を行う「一般登録型」とは異なり、人材をヘッドハンティングなどによって獲得します。候補が見つからない場合は、他社の登録者やSNS、業界紙など、あらゆる情報を参考にします。
「サーチ・スカウト型」は、ハイクラスやハイスペックの人材を取り扱うことが多いのが特徴です。そもそも転職を考えてない層にアプローチをするのは、難易度が高いといえるでしょう。その分、企業からの報酬も高くなります。
既に自社でキャリアを積んでいる人材に、紹介先企業の魅力や条件の良さをいかに効果的に伝えるかが重要です。担当者にはクライアントの業界に関連する深い知見や交渉力、ネットワーク構築などが求められます。
再就職支援型(アウトプレースメント)
「再就職支援型」は、他の2つのスタイルとはまた異なる性質を持ちます。企業がリストラ対象となった社員に対して、再就職に必要なサポートを行うために人材紹介会社などに業務を委託するビジネスモデルです。
事業者は、再就職のためにキャリア相談や適性診断、履歴書・職務経歴書の添削、再就職先の紹介などを行います。必要に応じてスキルアップ支援やメンタルケア、職業訓練などが含まれる場合もあります。
再就職支援にかかる費用は、人員削減をする企業側が支払います。コストはかかりますが、企業イメージの失墜を防いだり、対象になる社員の経済的・心理的負担を軽減したりといった効果があります。ただし、必ずしも全員が再就職できるわけではないため、難しい面もあるビジネスともいえるでしょう。
人材紹介業の「総合型」と「特化型」の違いと特徴
人材紹介業の中でも特に「一般登録型」にはあらゆる業種への就職・転職支援を行う「総合型」と専門職や特定の職種に特化した「特化型」が存在します。それぞれの特性を理解して、自分に合った会社を選びましょう。
「総合型」の特徴
「総合型」は、幅広い業種や職種の求人がそろっており、求職者にとって選択肢が多数あるのが大きなメリットです。「まだ将来のキャリアプランが明確ではない」「転職先は条件で選びたい」「異業種への転職を希望」といった人におすすめです。
多種多様な求人を扱っているため、キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントの知識も幅広く豊富で、キャリア相談では適性やスキルを考慮して最適な職種を勧めてくれます。自分では思ってもみなかった未経験の仕事の魅力を知るきっかけにもなるでしょう。
「特化型」の特徴
「特化型」は、IT関連、医療・介護、金融など、特定のジャンルに特化した人材紹介業、転職エージェントなどを指します。また、営業職や事務職、エンジニアなどの職種を専門に扱う事業者も「特化型」です。業界・職種に特化しているだけあって、他の転職エージェントや求人サイトでは見られない求人が多くあります。
その業界、職種の最新動向や、業界知識、企業の評判などに精通しており、入社前に質の高い情報を得られ、企業選びの参考になります。将来のキャリアパスがある程度決まっていて「転職によってキャリアアップを目指したい」「現職よりも条件の良い職場に転職したい」と現職と同じ業種への転職を考えている人におすすめです。
もちろん、異業種への転職を考えている人にもメリットがあります。人材紹介会社のスタッフが丁寧に業界の専門知識や動向などを説明してくれるでしょう。人材不足が社会問題になっている現在「特化型」の人材紹介サービスの需要は高い傾向です。
業種・職種だけでなく、エグゼクティブ採用や士業を専門にした「ポジション特化型」や特定の年齢層をターゲットにした「年齢特化型」等のサービスもあります。
人材紹介サービス業務の流れ
人材紹介サービスでは、人材を募集している企業を新規に開拓し、契約後、採用要件の聞き取りを行います。求める人材の条件が明確になった後、求職者に対するサービス提供の流れを順に解説します。
転職希望者の募集
転職希望者の募集=集客は事業継続に欠かせません。登録者数が多いほど、企業側の要件にマッチする人材が見つけやすいためです。集客はWebサイトやSNS、メール、既存利用者へのコンタクトなど、さまざまな方法で行われます。既存登録者や自社の社員を通じて、登録者を紹介してもらうリファラル集客を実施している事業者もあります。
人材紹介会社は多数あり、いかに有能な人材を多く獲得するかがビジネス成功のカギになるでしょう。スカウト型では企業の希望にそって、直接該当の人物にコンタクトをとることもあります。
求職者との面談
自社に登録した求職者とキャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントが顔合わせも兼ねて、面談を行います。率直に希望する職種や条件、現職(前職)で得たスキル、今後のキャリアプランなどを話してもらえるよう、信頼関係を築きましょう。自分の体験談を交えつつ、聞き上手にもなるバランス感が重要です。
率直に話してもらうことで、求職者の強みや適性などを正確に把握できます。紹介企業とのミスマッチを防ぐためにも、面談は慎重に、求職者の希望だけでなく、不安、悩みなども聞くとよいでしょう。
企業の紹介
ヒアリングで得た情報で企業が募集している人材の条件に合えば、求職者に企業を紹介します。転職活動にはスピードも大切なため、早ければ初回の面談で紹介企業をピックアップするのが効果的です。企業では、人材紹介会社が提供した求職者の情報をもとに判断し、同意が得られれば求職者に連絡します。
面接前のサポート
求職者に紹介する企業が決まれば、企業との面接に向けてサポートを行います。サポートは履歴書や職務経歴書など提出書類の添削や模擬面接の実施、面接日の調整など、多岐にわたります。失敗のないよう、密に連絡を取り合うこと、求職者側に不明点があればすぐに相談してもらえる関係性の構築を意識しましょう。
入社条件の交渉
書類選考、面接などが終わった後、企業から合否の連絡があります。合格していれば入社が決定ですが、人材紹介会社の仕事は終わりではありません。入社前に条件、待遇面の交渉を求職者に代わって行います。入社日から年収、業務内容、待遇など細かな点まで、双方の合意が得られるまで交渉します。
もし入社前に齟齬があった場合、せっかく紹介した企業を「合わなかった」「実際の条件とは違った」などの理由で退職ということにもなりかねません。離職を防ぐためにも、事前にしっかりと対処しておくことが必要です。また、事業者によっては入社後にもフォローしてくれるところもあります。
人材紹介業の市場規模と成長性
近年、人材紹介業の市場は堅実に成長しており、将来性が期待できる業種です。株式会社矢野研究所による「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2024年)」(※2)では、2023年度の人材関連ビジネス主要3業界(人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は9兆7,156億円で、2024年は10兆円を上回るとされています。
事業所数も増加傾向で、厚生労働省発表の「民営職業紹介事業所数の推移」(※3)によると、2024年の有料職業紹介事業所数は31,486で2011年以降、右肩上がりで増加傾向です。
※2 出典:株式会社矢野研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2024年)」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3661
※3 出典:厚生労働省「民営職業紹介事業所数の推移」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001516702.pdf
市場成長の要因
人材紹介業の市場が拡大しているのは複数の要因が考えられます。
・少子高齢化による人手不足や若年労働力の減少
・老後資金への不安による高齢者の就労ニーズ増加
・個人の働き方への意識の変化
・専門技術を持った人材への需要増加
これらは市場成長の要因であるとともに、人材紹介業が抱える課題です。事業所数も増加している中、競合他社も当然のことながら増えています。集客やクライアント企業の確保なども難しくなってくるでしょう。人材紹介業界で働く人材にも高いスキルが求められる時代といえます。
採用ニーズが高い業種
現在、社会問題化している人材不足は、人材紹介業にとって最大のビジネスチャンスにもなり得ます。帝国データバンク作成のレポート「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」(※4)では、正社員の人手不足割合が特に多いのが次の業種です。
・情報サービス
・メンテナンス・警備・検査
・建設
・金融
・運輸・倉庫
・旅館・ホテル
・専門サービス
・リース・賃貸
・人材派遣・紹介
・自動車・同部品小売
非正社員では、正社員ほど割合は高くないものの「飲食店」「旅館・ホテル」「人材派遣・紹介」が上位に入っています。コロナ禍以降のインバウンド需要の高さも影響していると考えられます。「人材派遣・紹介」は正社員、非正社員ともに人手不足です。人材紹介業の人手不足は、就職・転職したい人たちに対して十分なサービスが提供できない状況に陥る可能性があります。
※4 出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241113-laborshortage202410/
人材紹介業と他業種との関係
同じ人材業界でも「人材派遣業」や「求人広告業」では、ビジネスモデルやサービス形態、対象者が異なります。それぞれの違いを知り、人材紹介業に関する知見を深めましょう。
人材派遣業
人材派遣業は、人材業界の中でも特に大きな伸びを見せている業種です。厚生労働省の「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(※5)によると、2023年度の派遣労働者数のうち無期雇用派遣労働者は842,680人、有期雇用派遣労働者は1,274,358人です。
人材派遣業は、自社に登録・雇用しているスタッフを企業に対して派遣する仕組みです。派遣するスタッフの選定や合否判定は人材派遣会社に一任されます。しかし、誰でもよいわけではなく、企業が提示した派遣期間や就業条件、スキルに最適な人材を派遣します。
人材紹介と大きく異なるのは、スタッフは入社(派遣)後も派遣会社と雇用契約を結んでいる点です。派遣先企業とは「労働者派遣契約」を結びます。給与は派遣会社から支給され、職場環境の悩みを聞いたり、スキルアップ研修を行ったりと派遣後もさまざまな形でフォローを行います。
今後は人材不足が顕著で成長が見込まれる業種に特化した人材派遣会社のニーズが高まると考えられます。
※5 出典:厚生労働省「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001464030.pdf
求人広告業
求人広告業は、求人媒体を持つ会社が求人企業の依頼で広告を掲載し、広告掲載料や手数料などを受け取るビジネスです。独自のメディアを持たない事業者でも「代理店」として複数の媒体に広告を出せます。求人広告業は、コロナ禍の影響で一時的に低迷していましたが、現在は回復傾向にあります。
人材紹介業と広告業では全くの別物と捉えられがちですが、人材紹介業の集客手段として用いられるケースもあります。時代の変化とともに求人広告業の媒体やアプローチ方法も変わってきました。大手プラットフォームやSNS、YouTubeなどを活用した広告が主流になりつつあります。効果的にターゲット層にアピールできる媒体として注目されています。
今後の人材紹介業のトレンド
人材紹介業界は市場の成長が著しく将来性があり、求職者にも人気の職種です。今後、人材紹介業に関わりたいと考えている人に向けて、人材業界の最新トレンドをご紹介します。
デジタル化とAIの普及
どの企業でも業務効率化のためのDX化やAIの普及が加速しており、人材紹介業も同様です。企業では、最新技術に対応できる専門知識や技術を持った人材が重宝されます。こうした人材を専門に扱う事業者が必要とされるでしょう。
人材紹介業の業務も大きな変革の時を迎えているといえます。RPAなどの導入により、単純作業が効率化され、従業員の負担やヒューマンエラーが減り、本来の業務に注力できます。さらにAIを使って企業と求職者とのマッチング精度を上げる事業者も増えてくるでしょう。
リモートワークの普及
コロナ禍を機に急速に広まったリモートワークへの対応も不可欠です。多くの企業で程度の差はあるものの、リモートワークを導入しており、働く側も柔軟な働き方を求めているといえるでしょう。
人材紹介業では、リモートワークを採用しているクライアントの開拓、適性のある人材の確保などが課題です。出社せずに自宅やコワーキングスペースなどで成果を上げるためには、徹底した自己管理能力やITリテラシーが求められます。こうした人材の発掘は、これからの人材紹介業に必要です。
高齢者への就職支援
老後資金への不安や物価高騰などの影響で、リタイア後も就業意欲のあるシニア層が増加しています。2021年には「高年齢者雇用安定法」(※6)の一部が、主に次のように改正されました。
・70歳までの定年引き上げ
・定年制の廃止
・70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
しかし、これらはあくまでも「努力義務」であり、企業の義務ではありません。実際にはシニア層はリタイア後、自ら再就職先を探すのが大半です。そのため、今後は人材紹介業もシニア層をターゲットにしたノウハウが必要になってくると考えられます。
シニア人材を必要とする企業の開拓や人材の確保を行い、シニア人材にマッチしたサービスの提供が欠かせないでしょう。シニア人材のこれまでのキャリアが役立つような職種を紹介したり、リスキリングの機会を提供したりといった施策が効果的です。
※6 出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
人材紹介業界で活躍するために
成長性の高い業界であっても時代や社会情勢の変化とともに、求められる能力やスキルは変わります。人材紹介業界で活躍するためには、人材不足や働き方の多様性、デジタル化などに柔軟に対応できるよう、多様な価値観やスキルを身につけましょう。常に業界の最新動向や関連する法改正などの情報をチェックすることも大切です。
人材紹介業の業種ごとの特徴を理解しておこう!
人材が不足しており、企業の採用ニーズが高まっている現在、人材紹介業界は将来性のある業種です。人材紹介業にもさまざまなビジネスモデルがあるため、それぞれの業種の特徴や仕組み、求められる資質などを理解しておくと、選択肢が広がります。自分が魅力を感じる業種に転職するのがおすすめです。業界の最新動向もチェックして転職を成功させましょう。
キャリアアドバイザーAgentの転職支援サービスではキャリアアドバイザー(人材紹介営業)職を募集している企業の裏側まで熟知したエージェントが転職を支援いたします。推薦文でも、なぜキャリアアドバイザーを目指しているのかなど言語化を行い書類通過率を高めます。
さらに、応募書類作成のサポートや企業ごとの面接対策など徹底した伴走型の転職支援を提供。「書類も面接もこれまでより通過率がダントツに上がった」「年収交渉をしてもらい希望年収が叶えられた」など口コミでも高い評価をいただいています。自身の志向にあったキャリアアドバイザーを目指している方はぜひ以下ボタンから面談予約してください。
この記事の監修者
長沢 ひなた
外資系アパレルで販売・チーム運営を経験後、美容クリニックのカウンセラーに転身。60名中3名のみのトップカウンセラーとして表彰され、マネージャーとして大規模なチームマネジメントも経験する。
「人生単位での変化」を支援したいとの想いからキャリアアドバイザー職へ転身し、入社半年での異例の昇格、1年でリーダーに就任。現在は、キャリアアドバイザー職への転職を専門に、業界構造を熟知した的確な支援を行っている。(▶︎詳しく見る)
基礎知識のおすすめ記事
-
2024/11/20
キャリアアドバイザー(人材紹介営業)で成果を出すコツとは?売上を伸ばす方法を8つのステップで徹底解説
-
2025/09/02
人材紹介業の集客代行とは?主な集客施策やメリット、選び方を徹底解説
-
2024/10/16
キャリアアドバイザー(人材紹介営業)職でホワイト企業に転職する方法
-
2024/10/16
キャリアアドバイザー(人材紹介)は未経験からでも転職できる?営業未経験でも応募可能な求人例あり